志進2016.10

課題解決を第一義に議論に参画していく「働き方改革」への対応

2016/10/21

IT業界の長時間労働是正へ

9月26日、第192臨時国会が召集された。安倍首相は所信表明の中で改めて、「誰もが能力を存分に発揮できる一億総活躍社会に向けての大きな鍵は『働き方改革』。子育てや介護と仕事を両立させるには長時間労働の慣行を断ち切ることが必要だ」と訴えた。

すでに設置されている一億総活躍国民会議の場においても、長時間労働の是正に向けて法規制の執行強化として、月残業100時間超の事業場に対する労働基準監督署による重点監督対象を拡大するなど、やるべきことは速やかにやっていくとのスタンスである。

また、業界慣行に踏み込んだ取り組みとして、新たにIT業界に焦点があたり、今後、業界団体や関係者、関係省庁と連携した取り組みを行う。労働側のメンバーとして情報労連も参画する。長時間労働の背景については、重層下請け構造のもとで、突発的な仕様変更、労働コスト削減のための丸投げ等があると行政サイドでは分析している。

私たち情報労連の調査結果等では、品質・コスト・納期等について、発注者側と受注者側で確実な共通認識を築くことが難しく、年間総実労働1963時間、所定外労働225時間といった長時間労働が発生し、これを起因とする疾患、精神障害の発生も課題であると指摘している。

労働慣行の変革に厳格な法運用が必要

『働き方改革』に関する、勤務間インターバル等の時間外規制に対して、経営サイドから「業務の継続性を考慮してほしい」との意見がある。労働者にとっても時間外ができないと困ることもあり、理解できなくはないが、「脱時間給的制度も導入したいが、時間外規制は緩めで」では話にならない。業務の継続性の幅は労使で最も懸隔があり、グレーな部分である。そういう意味で、36協定のあり方を見直すとの政府の意向について理解はできるが、育児や介護等を抱えた人の活躍を求め、非正規労働という言葉をなくすのであれば、労働基準法36条そのものがない前提で、かつ同32条「1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならない」を厳格に運用するぐらい「働かせ方」を変えなければ、長年染みついてきた労働慣行は変えられない。その上で、個々人のやりがいや能力開発、チャレンジを促すため、兼業を認める、または、転職しやすい環境を整備することが、労使にとって望ましいのではないか。

連合は、政府の「働き方改革」に対し、「連合が実現を求めてきた政策と共通する部分も多い。こうした政策課題の実現を骨抜きにすることなく、真に実効ある法規制などを実現することが重要である」と述べている。現段階において、「働き方改革」に必要な具体策について政労使の考えが合致しているとは思えないが、課題を解決していくことを第一義に考え、この議論に参画する必要があると考えている。

柴田 謙司 情報労連中央本部書記長
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