【第6編】子ども〜どう育てるつもりですか〜日本がしんどい

『縛られる日本人』(中公新書)を書いたハーバード大学ライシャワー日本研究所長のメアリー・ブリントンさんは驚きを隠しません。日本では、夫が会社にずっといて仕事ばかりで家庭にいなくても、妻は、しょうがない、とあきらめている、と。
父親の役割、母親の役割があるのは、日本では当然と思われています。しかし、アメリカでは、性別で母親役割と父親役割が決まっているわけではありません。
大げさなようですが、こういう社会規範が国民の人生を縛り、選択肢をなくしてしまいますし、家族はこうあるべきだと固定してしまいます。
イスラエルの社会学者であるオルナ・ドーナトさんが書いた『母親になって後悔してる』(新潮社)も、縛られたイスラエルの母親の苦悩を描いています。結婚して子どもを出産してよい母親になることを強力に求められる社会では、それを否定する女性は袋たたきにあいます。
1人の子どもを産むと2人目を求められ、3人目も……。母親は途中で後悔することすら、はばかられる。母親としてどうなのか、と。ただし、後悔は子どもではなく、母親の役割に大半の人生を費やすよう強制されることに向いています。
これは日本でも同様です。母親による子どもの遺棄事件が発生すると問答無用で袋たたきです。父親の存在は不問にしておいて、母親としてどうなのか、と。
社会で女性の人生を押しつぶしているのに、まるでそうは見えない。激しい男女対立が「見えぬ化」されてしまっています。日本がこれほどしんどいなのなら、社会とほどほどに距離をとるしかありません。この第3の「子育て原則」の下で、もしパートナーがいるのなら、がっちりチームが組めるかが成否の鍵を握ります。
チームかワンオペか。どちらがあなたにとって素晴らしい人生になるでしょうか。第1の「子育て原則」として、あなたが働きつづける姿を見せて、と言いました。しんどい日本で、働きながらチームで育てるその姿を見せてほしいのです。
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。