NPT再検討会議2026ニューヨーク行動「核兵器廃絶署名」を国連へ提出
核兵器廃絶へ向け労働組合の責任を果たす

NPT体制が問われる
正念場
NPT再検討会議は、核軍縮・不拡散・原子力の平和利用という三本柱の履行を、5年ごとに点検する重要な場である。今回の第11回会議は4月27日に開幕した。過去2回(2015年・2022年)の再検討会議は、いずれも最終文書を採択できないまま閉幕しており、NPT体制そのものの信頼性が、いま厳しく問われる局面にある中、5月22日の閉幕においても核軍縮や不拡散の方向性を示す成果文書を採択できないまま閉会した。
今回のNPT再検討会議は、米ロ間の核軍縮の枠組み「新戦略兵器削減条約(新START)」が2月に失効し、3月にはフランスが核戦力を増強する方針を示すなど、核軍拡の懸念が高まる中での開催であった。開幕にあたっては、グテーレス国連事務総長が現状に強い危機感を示し、各国に対してNPT体制の弱体化を食い止めるための協力を強く呼びかけていたが、会議は結果として具体的な前進を示すことができなかった。
本会議では、ロシアのウクライナ侵攻などを背景に、北朝鮮の非核化を求める項目で対立が生じたほか、イランの核開発問題についても、アメリカとイランの主張の隔たりは埋まらなかった。また、核抑止論の維持・強化を訴える核保有国と、早期の核軍縮を迫る非核保有国の対立も解消されず、採択を優先して「核の非人道性」の表現を弱めたことも合意に至らない要因となった。
街頭から会議場へ
──現地での行動
今回のニューヨーク行動では4月26日、ニューヨーク市内で実施された核兵器廃絶を訴えるパレードに参加した。「ノーモア ヒロシマ/ノーモア ナガサキ/ノーモア ヒバクシャ/ノーモア ウォー」のコールを響かせながら市内を行進し、世界に向けて核兵器のない平和な社会の実現を訴えた。沿道の市民からは賛意を示す手振りや拍手が数多く寄せられ、核兵器の問題が国境を越えた共通の課題であることを実感する出発点となった。
4月27日に開幕したNPT再検討会議では、本会議を傍聴し、冒頭から副議長の選出を巡り、アメリカがイランを「NPTを露骨に無視してきた国」と非難し、イギリスやオーストラリアもこれに同調。これに対し、イランは米・イスラエルによる自国への攻撃を「世界の核不拡散体制への攻撃」と反論し、ロシアもアメリカを「政治問題化している」と批判するなど、初日から厳しい国際情勢を反映した対立を目の当たりにした。午後からは、日本被団協による「原爆展セレモニー」や核戦争のリスクを軽減するためのセッションなど、NGOによる各種の催しに参加した。
4月28日の「核被害者の権利確立」をテーマとするセッションでは、広島・長崎にとどまらず、核実験や核開発によって被害を受けた世界各地の人々の声に触れ、核被害が国境を越えた人権の課題であることを再確認した。29日には、日本被団協、日本原水協、日本生協連、原水禁による4団体共同イベントに参加し、被爆の実相の継承と核兵器廃絶の必要性を、立場を超えて広く共有することができた。
524万余筆の署名を
国連に提出
4月30日には、情報労連も取り組んできた「核兵器廃絶1000万署名」を、原水禁、核兵器廃絶・平和建設国民会議(KAKKIN)、連合とともに国連本部へ提出した。提出された署名は524万余筆(うち、情報労連全体では、NTT労組退職者の会の署名を含め9万6822筆)の集約に上り、目標とした筆数には届かなかったものの、平和の課題に粘り強く取り組んできた一つの大きな成果である。
署名では、(1)2026年NPT再検討会議において核兵器廃絶への着実な道筋について合意すること、(2)日本政府をはじめ核兵器禁止条約未批准国が一日も早く同条約を批准し、世界中の核兵器廃絶を実現すること、(3)各国政府が次世代のため世界の恒久平和に向けた役割を果たすこと──の3点を求めた。
提出行動の場で、連合の芳野友子会長は「524万余筆の署名が集まった」と述べ、日本政府の核兵器禁止条約批准と、国連による核兵器廃絶の推進を強く訴えた。署名を受け取った中満泉・国連事務次長(軍縮担当上級代表)は、「世界には約1万2000発の核兵器が存在する。即時ゼロは現実的ではないが、軍縮へかじを切り直す必要がある」と述べた。署名運動は単なる数の積み上げではなく、被爆の実相を社会と共有し、政策を動かすための市民的な力を形成する重要な取り組みである。
被爆者の証言と
若い世代の継承
今回の行動を通じて改めて感じたのは、被爆者の証言が持つ重みと、それを受け継ごうとする高校生平和大使などの若い世代の力強さである。被爆者の平均年齢は86歳を超え、直接証言を聞くことのできる時間は、確実に限られつつある。被爆の実相を「過去の出来事」ではなく「いまそこにある危機」として受け止め、自らの言葉で世界に向けて発信する高校生平和大使や若い世代の姿は、運動の継承と国際的な連帯の広がりの可能性を、確かに示すものであった。
被爆地から距離のある職場や地域においても、被爆の実相をどのように伝え、平和の課題をどのように自らの働き方や暮らしに結び付けて語り継いでいくか。被爆80年を迎えた今、情報労連としても問われ続けている重い課題である。
運動の継承と
今後の取り組み
労働組合は、職場の権利を守るだけでなく、社会的責任を果たす組織である。情報産業に働く者を取り巻く社会は大きく変化しているが、「平和でなければ安心して働き、生きることはできない」という原点は変わらない。
今回、NPT再検討会議の現場で示された現実は厳しいものであった。しかし同時に、市民社会の声が政策を動かし得る可能性も、確かに示された。職場での小さな学びや署名一筆が、やがて大きな変化を生む。情報労連は今後も、戦争被爆国の労働組合としての責任を果たし、「核兵器のない世界」の実現に向けた歩みを、一歩ずつ着実に進めていく決意を新たにした。
![情報労連[情報産業労働組合連合会]](/common/images/logo_ictj.png)

