特集2025.01-02

情報労連の2025春季生活闘争
産別・加盟組合は何をしているのか/何をすべきか
11時間のインターバル制度を導入
睡眠時間の確保に貢献

2025/01/16

1日の勤務終了後、次の出社までの間に一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、労働者の生活時間や睡眠時間を確保する「勤務間インターバル制度」。通建連合に加盟する九州情報通信設備建設労働組合のシスケン支部は、2024春闘で11時間の勤務間インターバル制度を勝ち取った。

シスケン支部は、2009春闘で「8時間プラス通勤時間」の勤務間インターバル制度をすでに勝ち取っていた。今回の協約でインターバル時間を11時間に延長した。

シスケン支部の桂暢大委員長は、「勤務終了後に食事をしたり、起床後に準備をしたりする時間を踏まえれば、8時間のインターバルでは十分な睡眠時間の確保が難しかった。通勤時間という考え方も、ケースによってまちまちだった。そのため11時間に統一することで明確化を図った」と話す。

シスケン支部では、昼夜連続作業は原則禁止という労働協約を締結していた。そのため、インターバル制度が適用されるケースはそもそも多くなかった。それでも、顧客の都合で作業時間に制限のある場合や、緊急の保守・メンテナンスで呼び出しが生じる場合など、インターバル制度が必要な場面があった。制度が適用されると、翌日の就業時間に重なる休息時間は勤務したものとみなされる。

今回、インターバルを11時間に拡大するに当たって、会社との交渉は大きな支障なく進んだ。桂委員長は、「日頃、時間外労働削減の取り組みをしてきたことが生きた。昼夜連続作業は原則禁止というルールもあったため、11時間にするのは難しい話ではなかった。休息時間を延長したことで睡眠時間をより長く取れるようになったという声が組合員から届いている」と話す。

今後に向けての課題の一つは、インターバルの延長で制度の適用ケースとそれに伴う調整が増えること。例えば、翌日のロケーションが遠方かつ早朝からの場合など、該当するケースが増え、調整が必要になる。

もう一つは、現場に近いグループ会社や協力会社への制度の導入だ。現場では元請企業の組合員だけではなく、グループ会社や協力企業の従業員も一緒に働いている。制度の適用が元請企業だけだと、組合員に休みづらいという感情が生じる。仕事への責任感から作業の確認のため出勤する人もいるという。グループ会社なども含め、すべての働く人が十分な休息時間を確保できるようにすることが今後の大きな目標だ。

加えて、今後の課題として、「つながらない権利」の考え方の導入がある。労働組合としては、緊急呼び出しなどの際の応答体制の整理などを会社と協議していく構えだ。

労働組合は、こうした活動を通じて、働く人の健康確保やワーク・ライフ・バランスの実現をめざしていく。

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