特集2026.06

職場のダイバーシティ施策を進めよう
ジェンダー、LGBTQ、外国人材、ニューロ、年齢
誰もが自分らしく活動にかかわれる組織へ

2026/06/15
情報労連は今年5月、「第2次ジェンダー平等推進計画」達成に向けたガイドラインを策定した。取り組みの前進を図るために、ヒアリングをもとにした各組織の具体的な「事例」を整理した点に特徴がある。ガイドラインを手がかりに次の一歩を踏み出そう。
入江 優妃 情報労連政策局中央執行委員

女性参画を取り巻く課題

情報労連は、長年にわたり、男女平等参画、そしてジェンダー平等の実現に向けた取り組みを進めてきました。2025年度からは、「情報労連・第2次ジェンダー平等推進計画(2025〜2029年度)」(以下、「第2次計画」)の下、その達成に向けた取り組みの展開に努めています。

一方で、第1次計画の取り組み状況を振り返ると、ジェンダー平等の必要性への理解は一定程度広がりつつあるものの、取り組み状況には組織間で濃淡があり、「何から始めればよいかわからない」「取り組みがなかなか前に進まない」といった声も少なくありません。とりわけ、意思決定の場における女性の「過少代表」の状態は依然として大きな課題であり、執行委員会に女性役員が「一人もいない」組織が約4割に上るほか、議決機関において組合員比率に応じた女性参画を確保できている組織も3割程度にとどまっています。

その背景には、根強い性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアス等により、女性に家事・育児等の負担が偏りやすいことや、一方で男性も長時間労働等を背景に十分な家庭参画が難しいといった社会構造上の課題があります。こうした状況は、職場や家庭だけでなく、組合活動へのかかわり方にも影響を及ぼしています。

女性の組合参画を巡っては、女性組合員数の少なさに加え、育児・介護等のライフイベントとの両立、活動時間や参加方法のあり方など、個人の努力だけでは解決が難しい課題も存在しています。これらの要因が重なり合う中で、取り組みを前に進めることに難しさを感じている組織が少なくないのが実情です。

情報労連「第2次ジェンダー平等推進計画」達成に向けたガイドラインから

各組織の取り組みを事例として整理

今回策定したガイドラインは、こうした課題を踏まえ、加盟組織における創意工夫の積み重ねによる成果や過程を集約し、「2次計画」の推進を、より具体的なイメージを持って進めるための手引きとしてまとめたものです。

特に力を入れたのが、加盟組合へのヒアリングをもとに、各組織の取り組みを具体的な「事例」として整理した点です。ヒアリングを実施した組織は、組織規模や業種において多種多様であり、女性組合員が少ない組織も含め、それぞれの現場での試行錯誤や悩み、工夫を掲載しました。

事例は、「このまま使える!」「まずはここから!」「納得感のために!」の三つの視点で整理しています。

(1)「このまま使える!」:実際に各組織がやっている具体的な取り組み、いわば“実装部分”を示しており、そのまま参考にできる内容を掲載しています。

(2)「まずはここから!」:いきなり同じことをやるのが難しい組織でも取り組めるように、考え方や最初の一歩を紹介しています。

(3)「納得感のために!」:なぜその取り組みが続いているのか、どんな背景や思いがあるのかといった部分に焦点を当てています。

今回ヒアリングを実施した組織の取り組みは、いずれも特別な条件がそろっていたから実現できたわけではなく、自組織の実態や課題に向き合い、段階的に工夫を重ねてきたものです。

例えば、運動目標1「トップリーダーによる発信」では、トップが会議や組合員向けアプリ等を通じて、ジェンダー平等の意義を日常的に発信し、組織としての方向性を共有している事例を掲載しています。ジェンダー平等を特別なテーマとして切り離すのではなく、担い手育成や基盤強化など、組織を強くするための課題と結び付けて語っている点が特徴です。

運動目標3「推進体制づくり」では、支部役員や一般組合員もかかわる委員会を設け、執行部だけでは見えにくい現場の声を把握し、実際の要求や方針につなげている取り組みに加え、新たな委員会を立ち上げるだけでなく、組織のトップが集う既存の会議等を活用し、ジェンダー平等を正式な議題として扱うことで、議論を組織運営に反映させている事例も紹介しています。

運動目標5「参加しやすい環境づくり」では、育児・介護、移動時間など、それぞれの事情を前提に、会議時間や開催方法、役割分担を見直している事例を掲載しています。こうした工夫は、女性だけでなく、あらゆる組合員にとってかかわりやすい組織運営につながっています。

運動目標6「役員登用に向けた育成と選出後のフォローアップ」では、女性組合員が少ない組織において、フォーラムや機関紙などを通じて横のつながりを生み出し、「自分だけではない」と感じられる安心感につなげている事例を紹介しています。また、役員選出後も、執行部による定期的な声かけや相談機会を設けることで、安心して挑戦を続けられる事例も特徴的です。

さらに、運動目標7〜9「意思決定の場への参画」では、「女性だから選ぶ」のではなく、その人の強みや経験を生かせる役割を本人との丁寧な対話を通じて模索することで、組合活動のさらなる充実につなげている実践を掲載しています。レクリエーション活動などを入り口に「まずは小さくかかわる」機会の積み重ねが、将来的な担い手の発掘や参画促進につながっている事例や、「負担になるのではないか」という配慮から声掛けの対象を限定していた組織がその前提を見直したという事例もあります。配慮のつもりでも、参画の入り口を広げる上で重要な視点です。

活動を前進させる手引きに

これらの事例に共通しているのは、ジェンダー平等の推進を、単に「女性を増やす」取り組みとしてではなく、活動スタイルや意思決定のあり方を見直し、多様な人々がかかわれる組織運営をする契機として捉えている点です。こうした取り組みは、参加しやすさを広げるだけでなく、特定の人への負担集中を防ぎ、担い手の拡大につながっています。つまり、ジェンダー平等の推進は、「女性のためだけの取り組み」ではなく、組織そのものを持続可能にしていくための視点でもあります。

本ガイドラインは、「何から始めればよいかわからない」「女性が少なく取り組みのイメージが持てない」「取り組みが停滞している」と悩む組織にこそ、手に取っていただきたいと考えています。6月の「ダイバーシティ推進月間」も捉えつつ、ジェンダー平等推進を進める際の具体的な実践につながる手がかりとしてご活用ください。

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