巻頭言 UNITE To the next stage2026.08-09

政治の役割を問い直し「誰もが暮らしやすい社会」へ

2026/08/13

熊本地震への対応

7月28日の熊本地震で犠牲になられた方々に衷心よりご冥福と、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

発災直後から各組織と全力を挙げて、組合員・家族、退職者の安否確認を最優先に対応を行っている。執筆時点(7月末)ではあるが、軽傷や家屋被害の報告があり、引き続き、安否等の把握と必要な支援に対応していく。

政治は何のためにあるのか

7月15日に開催した第65回定期全国大会において、「2025〜2026年度中期運動方針」の後半年度となる「2026年度運動方針」を決定した。

大会では、5組織から7件の意見があり、どれも主要な取り組み課題であり、今後の運動・活動に生かしていく。引き続き、すべての加盟組合の積極的な参加・参画と行動を要請する。

さて、全国大会において、2年後となる「第28回参議院議員選挙」(比例代表)の組織内候補として、「鈴木よしとも」さんの擁立を決定した。私は、委員長あいさつで、政治に対する思いとして、「安全保障と生活保障は対立概念でない。私たちは守られる主体であると同時に、負担を担う主体でもある。極端に不安をあおる論調に流されることなく、労働者・生活者の視点での政策選択を重視すべき」との考え方を披瀝した。

いま、日本の政党政治は大きな転換点に立っている。多党化が進み、既存の対立軸が曖昧になり、政治の選択肢が見えにくくなっている。とりわけ野党は、理念や立場の違いが強調される一方で、国民の生活をどう守り、どの未来像を提示するのかという「軸」が十分に共有されていないと感じる。こうした状況は、政治への不信や無党派層の拡大につながり、民主主義の基盤を弱めている。

政治は何のためにあるのか。私たちは、この根本的な問いを改めて見つめ直す必要がある。政治の役割は、国民の生命と暮らしを守り、社会の公平性を確保し、未来への希望をつくることにある。

いま国民が最も強く求めているのは、抽象的な理念ではなく、賃金、働き方、住まい、子育て、教育、医療、地域の公共サービスなど、「労働者・生活者の視点」を政治の中心に据え、働く人々の権利と暮らしを守る政策である。

第一に「賃金と働き方の改革」が不可欠である。物価高が続く中、賃金が上がらなければ生活は安定しない。働く人が安心して働ける環境を整えることは、経済成長の基盤であり、社会の持続性を支える力となる。

第二に「住まいと子育て・教育の負担軽減」である。家賃の高騰、保育の不足、教育費の重さは、若い世代の将来不安を増大させる。生活基盤を支える政策は、若年層や子育て世代の安心につながり、子どもを安心して育てられる社会をつくることは、国の未来を創ることにつながる。

第三に「医療・介護・地域の公共サービスの維持と強化」が必要である。地方では医療機関の縮小や交通の衰退が進み、生活の持続可能性が揺らいでいる。地域医療の確保、介護人材の待遇改善、公共交通の維持、自治体財源の強化など、地域の生活を守る政策は、「社会の土台」であり、これが弱まれば、地域の暮らしは成り立たない。

働く人の声を起点に

第四に「働く人の権利を守る制度の強化」である。労働組合が果たしてきた役割は、賃金交渉だけではない。職場で声を上げる権利、働く人が対等に扱われる権利、生活の安定を求める権利を社会に根付かせてきた。これらはすべて人権の一部であり、民主主義の基盤である。

第五は「平和・人権・民主主義を守る政治の実現」である。安全保障環境が厳しさを増す中で、軍事力強化のみの議論は危険である。外交と対話を重視し、憲法の平和主義を尊重する姿勢が求められる。また、ジェンダー平等、選択的夫婦別姓、性暴力対策、差別の解消など、人権を守る政策は、社会の包摂力を高める。さらに、国会のチェック機能を強化し、情報公開を徹底することは、民主主義の質を高めることにつながる。

政治は、力による支配ではなく、対話と合意によって社会を運営する営みである。働く人々の声を起点に、生活者の視点から政策を再構築すること。これこそが、政治の原点であり、未来をつくる力となる。情報労連は、労働者・生活者の立場に立った政治の実現に向けて、声を上げ、行動し、引き続き、「誰もが暮らしやすい社会」をめざしていく。

北野 眞一 (きたの しんいち) 情報労連 中央執行委員長
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