ビストロパパレシピ2026.08-09

食べたことがない
妻のおふくろの味
ナスとピーマンの味噌炒め

2026/08/13

木更津の畑から、立派なナスが届いた。

今日は煮浸しにしようかな。そう妻に話したら、返ってきたのは別の答えだった。

「ナスとピーマンを甘辛で炒めたのを、お母さんがよく作っていたなぁ」

なるほど。妻にとってのおふくろの味らしい。じゃあ、作ってみようかな。

とはいえ、僕はその料理を食べたことがない。義母から教わったわけでもない。手がかりは、甘辛。味噌。ナスとピーマン。それだけだ。あとはなんとなく想像しながら、フライパンを振った。

食卓に出すと、妻がひと口食べて言った。

「そうそう!この味!」

おお。そのとおりの味になったらしい。

おふくろの味というのは、不思議なものだ。現物が目の前になくても、記憶の中にはちゃんと残っている。甘さの加減。味噌の濃さ。ナスが油を吸ったときのとろりとした感じ。言葉にすれば数行なのに、食べた人の中では、はっきりした輪郭を持っている。

だから、再現できたのは僕の腕ではないと思う。妻の記憶がずいぶん正確だっただけだ。僕はそれを、フライパンの上で形にしてみただけ。

家庭料理は、レシピ本より先に、会話で伝わっていくものなのかもしれない。あの日の食卓の話。誰が作っていたか。どんな味だったか。そんな話をしているうちに、なんとなく作りたくなってくる。作ってみると、案外近いところに着地する。

この味噌炒めは、冷めてもおいしい。お弁当のおかずにもいい。ナスもピーマンも安くなるこの季節、たくさん手に入ったときの一品としてちょうどいい。

偶然の会話から生まれた料理が、わが家の定番になった。僕の母ではなく、妻の母の味だけどね。

調理時間

20分

材料(3〜4人分)

  • ナス(6本)
  • ピーマン(3個)
  • 鷹の爪(1本)
  • 米油(大さじ1.5)
  • A
    • てんさい糖(大さじ2)
    • 酒(大さじ2)
    • 味噌(大さじ2)
  • B
    • みりん(大さじ1)
    • 味噌(大さじ1)
  • 白ごま(適量)

作り方

  1. ナスのへたをとって縦に8等分。ピーマンは輪切りにする。
  2. フライパンに油を入れて火にかけ、鷹の爪とナスを入れて炒める。火が通ってきたらピーマンも加えて炒める。
  3. Aを加えて炒め、ふたをして中火に。全体に火が通ったらふたをとり、混ぜ合わせたBを加えて炒める。白ごまをふってでき上がり。
アト辛おとな味:七味
子手伝い:ナスを洗う
ビストロパパのワンポイント・アドバイス
誰かの「おふくろの味」を聞いて作ってみよう。
滝村 雅晴 (たきむら まさはる) パパ料理研究家・ありがとう料理研究家。株式会社ビストロパパ代表取締役。大正大学客員教授。男性の家事参画や共食の普及・啓発を行う。料理初心者が、おうちでレストランメニューをオンラインでいっしょに作るビストロパパの料理塾を開講。労働組合向け、食材セット付きオンライン料理教室の運営サービスが人気。毎週料理動画をYouTube「ビストロパパCHANNEL」で公開中。「きょうの料理」「3分クッキング」等出演。
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