インタビュー 連合熊本・山本会長10年前の経験を生かす
ニーズの変化を踏まえながら
復旧・復興を支援


──地震発生直後、連合熊本として、どのような対応を取ったのでしょうか。
まず行ったのは、県内六つの地域協議会を含む役職員の安否確認です。県南の二つの地域協議会では事務所内の物が倒れるなどの被害もありましたが、幸い、人的被害はありませんでした。翌日には緊急対応として飲料水を届けました。
一方、構成組織である産別・単組については、それぞれが組合員や家族の安否確認が進められていましたので、そこに連合熊本から「あれを報告してほしい、これを教えてくれ」と連絡を重ねれば、かえって現場の負担になりかねません。そのため、「まずは安否や被害の確認に全力を挙げてください。必要な対応や届けてほしいものがあれば、遠慮せず連絡を」と伝えるにとどめました。発災直後は、産別・単組の動きを邪魔しない、止めない。その上で連合熊本として何ができるのかを考える。それが初動の基本でした。
──10年前の熊本地震の経験は、今回どのように生きましたか。
10年前は情報労連の県協議長という立場でしたので、今回の連合熊本会長とは役割も範囲も違います。ただ、熊本地震や6年前に県南エリアを襲った「令和2年7月豪雨」を経験してきたことで、「発災からどれくらいの時間が経過したら、何がどういう状態になっているのか、被災した人たちは何に困っているのか」が、ある程度イメージできました。
地震直後なら、避難所は開設されたか、車中泊が発生するのか、ガソリンはあるのか。翌日になれば水が必要になる。トイレは大丈夫か。天候も確認しなければいけない。そうしたことを時間の経過とともにイメージし、「今のうちにこれをやっておいた方がいい」とか、「今はまだ早い」と一歩先を考えられたことは、経験が生きた部分だと思います。
ただ、10年前の地震と特に違ったことは、今回は真夏の災害だったことです。避難所の暑さ対策が課題でした。また、地下水が豊富な地域では「井戸」を生活用水に使われる家庭が非常に多い。復旧にはかなりの時間が必要と思われます。
一方、九州各県はもとより、自治体・社協・水道局の職員、自衛隊、医療チーム、給水車、土木工事の事業者、警察など、全国から熊本支援に入るのが驚くほど早かった印象です。熊本地震や能登半島地震など、これまでの災害対応の経験やノウハウが社会全体に蓄積されてきていることを感じました。
──現在、ボランティア活動はどのように展開していますか。
ボランティア活動の動き出しは早く、8月初旬には連合本部から先遣隊が入り、被災地のボランティアセンターを回ってニーズを確認しました。その段階で、連合本部と連合熊本の双方でボランティア活動を展開することを決断しました。
現在は、9月7日から10月30日までの平日、連合本部と連合熊本がそれぞれ活動を展開しています。連合本部による全国ボランティアは美里町にベースキャンプを設け、1日20人の仲間が活動を展開してくれています。7週間で延べ700人規模を予定しており、まずは受け入れ態勢が整った宇土市から活動を始め、ニーズに応じて活動地域を変えていく予定です。
もう一つが、連合熊本独自の「別動隊」です。全国ボランティアが活動する地域以外を中心に、県内の産別・単組の組合員に参加を呼びかけ、現地集合・現地解散方式で延べ550〜600人程度の活動を見込んでいます。
ボランティアのニーズは変化していきます。公費解体が始まれば、家の中から大切な物を運び出す作業が必要になります。仮設住宅への入居が進めば、引っ越しの支援も出てきます。10年前の経験から、復旧・復興は長い時間がかかることがわかっています。報道が減り、ボランティアの数が減っていく時期にこそ、支援をどう継続するかが大切になります。
──今後、連合熊本として力を入れていくことは何でしょうか。
まずはボランティア活動をしっかり続けることです。同時に、被災者支援制度や雇用調整助成金など、雇用や生活にかかわる情報を、タイムリーに産別・単組、地域協議会に届けたいと考えています。
今のところ連合への労働相談はそれほど多くありません。しかし10年前の経験では、発災から半年程度経過した頃から、賃金や雇用を巡る相談が増えてきました。企業の再建が長引けば、働く人の生活にも影響が出てきます。中長期を見据えて支えていかなければなりません。
──全国の組合員の皆さんにメッセージを。
今回の熊本地震に際して、全国から熊本に心を寄せていただいています。情報労連をはじめ、連合に結集する仲間の皆さんには心から感謝しています。
地震は、いつどこで起きるかわかりません。また、豪雨や台風による水害、猛暑、山火事など、さまざまな自然災害が起きています。地球温暖化の影響も、いよいよ身近なところに表れてきていると感じます。
だからこそ、皆さんにも日頃から自然災害への備え、「何かあった時にどう動くか」という心の備えが必要だと思います。
熊本は再び大きな災害に見舞われましたが、これからまた力強く復興していきます。ボランティアに限らず、ぜひ熊本にお越しいただいて、地域に「元気」を注入してもらえたらうれしいです。
(9月上旬にインタビュー)
「連合救援ボランティア」に派遣
熊本県内でボランティア活動を展開
現地ニーズに応じて復旧支援
情報労連は、連合が9月6日から実施した「令和8年熊本地震 連合救援ボランティア」にスタッフを派遣し、被災地での支援活動に取り組んだ。
9月6日から始まった第1クールには、情報労連から4人を派遣。熊本県宇土地域で、被災者のニーズに応じた家屋の片付けや家財の搬出、崩れたブロック塀の撤去などに従事した。
活動2日目には、店舗と住宅を兼ねていた建物で、被災した家財の搬出作業を中心に行った。3日目は、住宅の裏手にある用水路に落ちた瓦やブロック塀の破片を拾い集める作業からスタート。午後からは別の住宅に移動し、木材や瓦、タンスなどを搬出・運搬した。
地震発生から約1カ月が経過した時点でも、被災者自身では対応が難しい重量物の運搬や撤去作業など、ボランティアによる支援へのニーズが続いていた。
情報労連はその後も被災地支援に取り組み、10月11日から始まった第5クールにもスタッフを派遣する。
また、情報労連は9月30日まで、8月に発生した千葉豪雨への支援も趣旨に含め、「令和8年(2026年)熊本地震・緊急支援カンパ」を実施した。
![情報労連[情報産業労働組合連合会]](/common/images/logo_ictj.png)

