巻頭言 UNITE To the next stage2026.10

退職者の会、福祉事業体との連携・協働

2026/10/14

自然災害が本年4月以降、全国的に頻発・激甚化している。情報労連においても、退職者やその家族・親族が犠牲になられ、多くの組合員等が被災された。心より哀悼の意とお見舞いを申し上げる。

政府の防災白書等によれば、最大の要因は気候変動による極端現象の増加であり、「災害が増えている」のではなく、「災害が増える条件が揃ってしまった」というべき状況にあるとのことである。

さて、9月29日、情報労連・NTT労組退職者の会「第28回全国総会」が、能登半島地震・奥能登豪雨の被災地・石川県で開催され、総会前段に被災状況の報告会が開かれた。実際に被災された会員から、実体験や当時の課題、さらには避難所における避難生活の実相が語られた。被災者自身の実体験から語られる課題・問題は、行政や報道では十分に拾われていない現状からすれば、とっても有意義なものだった。

私たち情報労連には、組合員・家族、退職者の「安心・安全」を支える電通共済生協、きらら保険サービス、そして労連共済事業の福祉事業体がある。とりわけ、電通共済生協(正式名称:電気通信産業労働者共済生活協同組合)は、生協法に基づき、労働組合の相互扶助の理念のもと、職域・自家共済として1967年4月に事業を開始した。

加えて、先に触れた「退職者の会」は、1973年に「現職から退職後まで」切れ目なく支え合うことを目的に設立され、48支部協議会体制のもと、会員相互の親睦交流、各種レク行事を中心に、各種共済の事務処理、自然災害時には安否・被災状況の確認やボランティア活動など、会員の「つながり」と「安心・安全」を積極的にサポートしている。

両組織とも、職場の連帯と民主的運営によって支える“セーフティネット”であり、働く仲間が自らの生活を守るために協働して組織する「生活共同体」である。

「支え合い、助け合い」の輪

しかしながら、労働組合もそうであるが、加入者数等の減少傾向が続いている。「自分のことは自分で」という価値観が強まり、助け合いよりも自己責任が強調される社会では、集団の絆が弱まり、人はその集団への帰属意識を失い、離脱しやくなるとの研究がある。社会的にもコミュニティの弱体化が課題となっているが、一方で「競争より協力が人類の進化を支えてきた」との複数の研究がある。互いに支え合うことで、危機や環境変化に対して集団としての生存確率が高まるとの指摘である。まさしく、「支え合い・助け合う」ことは、人が社会をつくり、維持し、より良くしていくための根源的な営みといえるのだろう。

労働組合も、退職者の会も、そして福祉事業体も、働く仲間の生活実態・リスク・困りごとを最も深く理解し、市場原理では守り切れない領域を支える組織であり、組合員、会員、家族に親身に寄り添い仲間の生活を守る存在である。そのことが私たちの強みである。実際、困ったときに頼りになった。ありがたさ、大切さを実感した。こんなコミュニティは他にはないとの声を頂く。

第65回定期全国大会(2026.7.15)以降、9月末までに構成組織が大会を開催し、2026年度運動・活動方針の実現に向けて、スタートを切った。各構成組織が組合員一人ひとりにしっかりと向き合い、寄り添い、そして、「退職者の会」との連携、福祉事業体との協働による相互扶助機能の強化により、パンデミック、災害、経済不安、対立と分断など、変化の激しい時代だからこそ、「支え合い、助け合い」の輪を広げ、社会的価値ある労働運動を継承・発展させていく。

北野 眞一 (きたの しんいち) 情報労連 中央執行委員長
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