渋谷龍一のドラゴンノート2026.05

【第8編】振り返りとまとめ〜「次々世代作戦」をどうする?〜第5編の振り返り・
F型雇用

2026/05/15

パートナーがカイシャに吸い取られていくうちに、あなたや子どももからめ捕られるような気がしませんか。日本はメンバーシップ型雇用と呼ばれる独特の方式の下で労働者が働いています。労働者は就職ではなく就社し、カイシャが囲い込む長期雇用システムのメンバーになることを求められます。限定正社員の出現ではっきりしましたが、無限定社員として、仕事変更を積み重ね、長時間労働、転勤・転居などをこなして出世していきます。

そんなの無理だよー、と思う働き方ができることがメンバーの証しですが、無理くりやってきたのが正メンバーのM(male)型で、多くは男性正社員です。「日本のキホン」に忠実に、家族が万全の稼ぎ手として差し出せばやれないわけではありません。

M型を成立させるために家族責任を担うのは、多くの場合女性です。専業主婦が典型ですが就業が増え、つまり共働き世帯が増えました。しかし、家族責任があるため、退職して非正規労働者として働く場合が多いです。

踏ん張って正社員を辞めずにいても、家族責任のために、カイシャの準メンバーとして、正メンバーとの違いを理由にガラスの天井やマミートラックに直面します。これらはF(female)型です(女性のM型や男性のF型もいます)。

F型は、正メンバーに対して制約があると解釈され、実質的には制約社員で、世の中では契約社員と呼んでいます。「労働者の宿命」を重ねると、M型が賃金OKで労働時間NGの働き方、F型が労働時間OKで賃金NGの働き方です。ですから、働き方改革の音頭でM型を多少イジっても何も改まりません。暮らし方改革からF型を改変することが効果的かもしれません。

日本のキホンを崩すこと、労働者の宿命から脱出する方法を発見することが不可欠になります。できます? わかりません。どうします? 社会に同調せず背を向けてあなた一人や家族だけでやりますか? 共有できるみんなでやります?

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
主著に『女性活躍不可能社会ニッポン 原点は丸子警報器主婦パート事件にあった!』(旬報社)、「万博の労働者が危ない—エキスポ1970で何が起きたのか」『労働法律旬報』(2024.10.25)など。
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