渋谷龍一のドラゴンノート2026.03

【第8編】振り返りとまとめ〜「次々世代作戦」をどうする?〜第3編の振り返り・職場

2026/03/13

「日本のキホン」が創り出す非正規社会。家族の稼ぎ手代表として万難を排して送り出す男性正社員の職場、カイシャはどんな場所なのか。時に組織不正や汚職など企業不祥事が発覚します。経営が苦しくなると、製品や労働者などに関する法令違反に手を染めがちです。

稼ぎ手は長時間労働を余儀なくされ、とてもしんどそうです。自宅にいるよりカイシャにいる時間が長くなります。サービス残業、年休未消化、過重労働から逃れられないのなら、働いているはずの労働時間が奪われていることになります。個人の責任にされがちですが、会社が長時間労働の的を大きくしてから、一定の労働時間を狙い、奪っています。「時間ドロボウ」です。

一方で、非正社員は労働時間の的が小さくてうまく奪えません。だから、正社員なみの働き方をさせて本来の賃金額の的を大きくしてから、低賃金、賃金格差、不払い賃金などで直接に賃金を狙うのです。「買いたたき」です。限定正社員は、一方で労働時間、他方で賃金が奪われる「ハイブリッド型雇用」です。

このように、正社員と非正社員は「労働者の宿命」が違います。働き方改革では、正社員向けには長時間労働の解消、非正社員向けには同一賃金が最大のメニューでした。とても心地よい響きなのに実現されないのは、労働者の宿命が決して誤りではないからでしょう。日本の雇用は両者に二極分化している、といわれますが、正しいと思います。労働者の宿命から考えると、水と油ほど違う労働者です。

就労形態の多様化が進み、働く者へ柔軟性や選択肢を提供しているといわれるのですが、本質的には2種類の労働者がいる、と見通すことが大切です。労働者の宿命をどうします? どのように逃れます?

それらに立ち向かうのは個人では困難なので、労働組合に期待せざるを得ません。労働組合は衰退しているから労働者の宿命に対抗できないのか、対抗できないから衰退しているのか、も問われます。

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
主著に『女性活躍不可能社会ニッポン 原点は丸子警報器主婦パート事件にあった!』(旬報社)、「万博の労働者が危ない—エキスポ1970で何が起きたのか」『労働法律旬報』(2024.10.25)など。
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