【第7編】労働組合〜ジェンダーギャップ最劣悪国でどうしますか〜当事者性 VS 主導権

メッセンジャーの話を聞いてみていかがですか。共感できることや耳が痛いことがあったと思います。でも、クミダンをこきおろしたいわけではありません。
労組にとても期待しています。労組は大きな力を持っています。その力が十分に発揮されないとしたら、しかもその理由が外敵ではなく内部の問題なのだとしたら、悔やみきれないほど残念です。
ほとんどの場合、男性型組織の労組に女性が後から登場します。すると、女性に特有の問題が発生して対処が必要になります。しかし、意識や関心が低い男性の反応は鈍く、軽視や放置が続きます。すると、女性の不満や苦悩は大きくなり、不信者となり労組から離れていきます。離れても、問題ナシ、とされてしまう。それでも、当事者性がないから労組にいたら女性は損です。
当事者性が欲しいから、男性が代弁しても効果が薄いため、踏ん張って労組にとどまり、しつこく求めて獲得するしかありません。そう、女性が欲しいのはとってもしんどい当事者性です。
さあそこでクミジョを増やせの大合唱です。でも、なかなかうまくいかないし、とっくに当事者性を得ている男性は、本心ではクミジョを増やすつもりはないのが透けて見え、それを女性の責任にする向きも多い。なぜ? どうも、労組を男性型組織のままで守ろうとしているのだ、と気付きます。がっかり。そう、男性が欲しいのは、主導権だったのです。
当事者性が欲しいけれど主導権なんか欲しくないクミジョと、主導権は絶対に譲れないと身構えるクミダンがかみ合うわけがありません。すぐ近くにいるのに別の方を向いてしまう。だからジェンダー平等はいつも外向けに空回りし、内部を編み直す方向には行かない。クミジョとクミダンの真のパートナーシップなど夢物語です。
こうしたメッセンジャーの分析は間違っているのでしょうか。もしも合点がいくところがあるのなら、究極のスレ違いから抜けるチャンスはあります。
主著に『女性活躍不可能社会ニッポン 原点は丸子警報器主婦パート事件にあった!』(旬報社)、「万博の労働者が危ない—エキスポ1970で何が起きたのか」『労働法律旬報』(2024.10.25)など。