巻頭言 UNITE2025.04

2025春闘 中小組合の春闘本格化

2025/04/14

先月号に引き続き、2025春闘について要説する。物価を上回る賃上げが実現するのか、2025春闘は、社会的要請・役割として労使交渉の結果に注目が集まっている。

連合が公表した3月19日時点の第2回回答集計結果によると、加重平均で1万7486円・5.40%と、昨年同時期比で1107円・0.15ポイント上回った。300人未満の中小組合では、1万3288円・4.92%で1372円・0.42ポイント昨年同期を上回ったとして、第1回集計結果に引き続き、高水準の賃上げが続いているとしている。

情報労連では、3月24日現在の集計で、対象企業392社に対し234社(59.7%)に要求書を提出し、158社(67.5%)で妥結しており、月齢賃金改善で平均9972円(昨年比プラス3829円)となっている。この間、全国単組を中心とする3月12日の集中回答、先行組合に続く加盟組合ならびに中小加盟組合、いずれにおいても、多くの加盟組合で満額回答や要求を上回る回答を引き出しており、昨年を上回る結果となっている。

これまでのところ情報労連方針であるベア3%以上確保は確実であり、好調な結果を導き出している。組合員の生活の維持向上に向けて、精力的に取り組んでいただいた役員各位に敬意を表する。

中小加盟組合の現状

年度末決算を見て春闘に取り組む加盟組合も多くあることから、現時点は道半ばであり、これからが最大の焦点である中小組合の春闘が本格化する。

この間、いくつかの中小加盟組合を春闘激励で回ってきたが、対置する企業の業績は、好調だというところは少なかった。しかしながら、物価高の中、組合員の生活を維持向上するために、要求するとしている組織は多かった。

当然の要求といえるが、賃上げを持続していくためには、企業収益の確保が必要となる。そのためには、労務費を含めた取引の適正化が確実に図られるようにしなければならない。加盟組合によると、昨年よりは、取引の適正化に応じる環境が整いつつあるようだが、労務費を含めた取引の適正化に十分な措置が得られる状況までには至っていないという声も聞いた。連合を含め、情報労連においても環境整備をさらに進めていかなければならない。

口をそろえて言われるのが人手不足の深刻さである。人手確保のために、連続赤字でも賃上げをせざるを得ないという実状も明かしてくれた。

中小加盟組合に対置する企業は、総じて旧来型産業での請負構造にあり、事業自体が縮小傾向にあるのを感じる。大手と違い設備投資の難しさもあり、新規事業の展開も容易ではないだろう。こうした状況も見据え、将来展望を含めて、経営戦略をどうしていくのか、今次春闘交渉では、労使で知恵を出し合う踏み込んだ議論も重要となる。

また、3月24日時点で要求見送り、未定としている加盟組合が昨年と同数程度あり、現時点すそ野を広げる取り組みが功を奏しているとはいえない状況である。賃金引き上げを中心に「最低一つの自主的要求項目」の実現に向け、ブロック支部・県協と連携し、伴走型サポートを強化していく。

安藤 京一 (あんどう きょういち) 情報労連 中央執行委員長
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