戦後80年の夏
戦後80年の夏を迎える。
情報労連は、戦後80年となる2025年を「組織全体が、改めて平和に向き合う1年」と位置づけ、組織的取り組みを進めている。
戦争を経験した世代が、年々減少しており、戦争の悲惨な実相は、人々の記憶から忘れられつつあり、遠い歴史の一コマになろうとしている。
今だからこそ、戦争の悲惨さを、今の世界と関連して伝承していかなければならないとの思いから、構成組織・ブロック支部・県協の協力の下、平和教材のアーカイブ化、平和マップの作成、メタバース展示会の開催など、戦後80年の節目に、過去と未来をつないでいく取り組みとして、具体化している。アーカイブについては、100点を超える平和教材となり、情報労連の平和運動の軌跡を顧みることができる。平和マップについては、全国から160以上の戦争にまつわる戦跡や資料館などの情報が集まり、改めて80年前の戦争が各地に甚大な被害をもたらし、当時のすべての人が多大な影響を受け、戦争に組み込まれていたことが見て取れる。ご協力いただいた関係各位に感謝申し上げる。今後、各組織でこれらを活用し、風化に抗する取り組みをお願いする。
そして、5月23日には、「戦後80年平和中央集会」を開催した。
講談師・神田香織さんから、講談『はだしのゲン』を披露いただいた。『はだしのゲン』は、小学生当時マンガで読み、原爆の恐怖と悲惨さに子ども心に衝撃を受けたことを覚えている。今回の講談による『はだしのゲン』は、講談師の釈台を張り扇でたたき、調子をとりながら場面を表現した語りと、絶妙な照明と音響の演出により、当時の情景が目に浮かぶ臨場感あふれる話に、誰もが聞き入った。
平和を希求する行動を
この講談を聞きながら、改めて「平和」について考えさせられた。今の私たちと同じ普通の暮らしが営まれて、そうしただんらんの日常が戦争により、壊される非情さと戦争さえなければ、別の人生を送ることができたであろう無念さを感じた。今のウクライナやガザ地区の子どもたちの境遇も同じであり、自分の身の上に置き換えて、平和を希求することが重要なことだ。
戦争の経緯や歴史を顧みれば、戦争を起こすのは、一部の政治指導者であり、それを後押しする勢力がある。その人たちには、こうした誰もが抱く日常の平和観は少ないのかもしれない。
残念ながら、日本においても、80年前の反省を忘れたかのように、防衛費の拡大や軍拡へとかじを切り、再び戦争ができる国へと変わりつつあるように感じる。
7月の参議院選挙を目の前に、政治の動きに目を向け、平和観を共有する政治を、主権者として求めていくことが、何より重要になる。
「創り育てる平和」をシンボルフレーズとする「平和四行動」が、6月の「沖縄ピースすて〜じ」から始まり、8月の広島・長崎、9月の北海道へと続く。現地の行動を通じて、「戦争の悲惨さ」「命の尊さ」を「見て・聞いて・感じて」、家族や職場の同僚、友人などに伝え、広げていく取り組みとしたい。
「二度と戦争をしない・させない、平和を築く」。戦後80年今を生きる私たちの責任として、平和を未来につなげる行動を展開していく1年とする。