【第8編】振り返りとまとめ〜「次々世代作戦」をどうする?〜「ライフゾーン」が
チラリと見えた 2

丸子警報器の主婦パートの皆さんは、採用の時に正社員を希望しましたがかないませんでした。会社側の求めに応じて、長時間働き、残業や休日出勤に応じていても、待遇が良くなるわけはなく、絶対に正社員になれません。我慢していたけれど、理不尽な差別やいじめを感じ取り、人間らしく生きていけるかを問われた気がした、と言います。
裁判開始後、どうして裁判なんかするんだ、そんなの普通だから我慢しろよ、嫁の立場をわきまえろ、恥ずかしい、などとパートナーや親族から責めたてられた女性たちがいました。裁判や活動で家を空けると、やることはちゃんとやれ、オレのご飯はどうなるんだ、子どもがかわいそうだろう、などと怒り出すのです。
女性たちは、男性社会では会社も家庭も同じなんだ、ということを痛感しました。中にはそれが我慢できず、あるいはやむなく、怒りに任せて大げんかを繰り返す女性がいました。
ところが、裁判で闘う姿を見て、家族たちも女性のしんどさを理解し始め、協力的になっていきました。勝利後は、本当に仲良く暮らせるようになりました。これも裁判の成果です、と女性たちは語ってくれました。「パートナー育て」に成功したのです。
丸子警報器事件に隠されていたストーリーは何を示すのでしょうか。女性たちは皆、理不尽な男性社会に思い切って背を向け行動したら生きやすくなった、と言います。人間として自分らしく生きるための、痛みが和らぐ空間が生まれたのです。男性たちも生きやすくなったのではないでしょうか。
チラッと見えたのは、勇気を振り絞って獲得した「ライフゾーン」ではないでしょうか。大切な空間です。働く人たちの仕事、生活、人生のために、ライフゾーンづくりが必要です。諦めずに、しっかり準備をして、やればできる。
ドラゴンノートは、あなたが自分やパートナーや次の世代の将来を視野に入れ、どのようにライフゾーンをつくるかを考えてもらうための書き置きです。
主著に『女性活躍不可能社会ニッポン 原点は丸子警報器主婦パート事件にあった!』(旬報社)、「万博の労働者が危ない—エキスポ1970で何が起きたのか」『労働法律旬報』(2024.10.25)など。
![情報労連[情報産業労働組合連合会]](/common/images/logo_ictj.png)

