【第7編】労働組合〜ジェンダーギャップ最劣悪国でどうしますか〜スレ違い2

今回は、権力を念頭にクミジョとクミダンのスレ違いを考えてみましょう。男性型組織の労組で、クミダンが大きな権力を持っていることを否定する人はいません。権力とは、対立を解決する際に、それが振るわれた側に行為を変更させる力です。
権力を中心テーマとする政治学では、段階的な1次元的権力(1)、2次元的権力(2)、3次元的権力(3)の3つに分類されます。前田健太郎さんによると、政治学は女性を明示的に取り入れてこなかったといいます。これら権力の123によって女性が政治から排除されることを危惧しています(『女性のいない民主主義』)。
1は最も想像しやすい権力で、権力者が他人を屈服させます。2になると、そんな荒っぽいのはやめて、問題設定をすり替えたり、争点をずらしたルールをつくって、静かに抑圧する。実は大きな権力がないとできません。3は最終形態で、人々の意識や価値観を変えて、問題ナシ、争点ナシの無自覚状態にしてしまう。権力者は完全に隠れます。政治家を見ていると、確かにうなずける点があります。
労働界はどうでしょう。クミダンがクミジョを大っぴらに非難したり排除するケースはもうまれです(1)。でも、もう男女で分けるのは古い、女性優遇はごめんだ、などと聞こえてきます(2)。さらに、やっぱり賃上げだ、選挙だよ、LGBTQsとか(3)。
あなたの組織は3まで行っちゃってる? 違和感やスレ違いに気付いたら、だまされず、圧力に負けずに、2に押し戻しましょう。2になったらすかさず、論点や問題をすり替えないで、とやめさせないと。でも1はやりたくないからすぐ2に戻ってくるし、3へ向かわないように、しつこくダメ出ししないといけません。
とてもしんどいですが、123が見えると、スレ違いの原因が少しはっきりしませんか。それに気付ける良いクミダンやマシなクミダンもいますから、強く意識して123の行き来を繰り返せば、スレ違いの一部は解消するかもしれません。
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。