ビストロパパレシピ2025.07

緑の細長い
名脇役が主役に
小ねぎと豆腐のチャンプルー

2025/07/14

小ねぎが好きだ。

薬味で終わらせるには惜しいほど、香りがよくて、色が美しい。白ねぎよりも控えめで、どこか奥ゆかしいのに、炒めると一気に表情を変える。

小ねぎはいつも脇役だ。みそ汁の上に散らされたり、冷ややっこに乗せられたり。でも今は、小ねぎをざくざく切って、思いきりフライパンに放り込むだけで「ごちそうのはじまり」って気がしてくる。

特にお気に入りなのが「小ねぎチャンプルー」だ。木綿豆腐と卵と、たっぷりの小ねぎ。肉なんてなくても、立派な一皿になる。普段は小口切りにするところを、ざっくり大きめに切る。炒めた時の食感と香ばしさが、まるで違う。

ときどき、スーパーで立派な小ねぎを見つけると、「今日は主役でいこうか」と思う。細くて短いタイプなら、2束くらい惜しみなく使う。しんなりするまで炒めて、卵を加えてさっと仕上げれば、もうごちそう。

しかも、小ねぎは栄養的にも侮れない。骨の健康を保つビタミンKや、免疫力を支えるβ──カロテン、疲れた体にうれしいアリシンが含まれるなど、見た目以上に頼もしい。加熱することで栄養の吸収もよくなり、炒めるという調理法とも相性がいい。

さらにおもしろいのが、食材同士の“うま味の掛け合わせ”。卵や豆腐に多く含まれるグルタミン酸と、小ねぎの香り成分が組み合わさることで、味の深みがぐっと増すのだ。

肉がなくても、ちゃんと主役を張れる。そんな料理が一つあるだけで、日々の献立はぐっとラクになる。

あなたのキッチンでも、今日はぜひ小ねぎを主役にしてみてほしい。

調理時間

15分

材料(3人分)

  • 小ねぎ(1束)
  • 木綿豆腐(1丁)
  • 卵(2個)
  • ニンニク(1かけ)
  • 米油(大さじ1)
  • 鷹の爪(2本)
  • しょうゆ(大さじ1〜)
  • カツオ節(少々)

作り方

  1. 小ねぎはざく切り。木綿豆腐は大きめのやっこに切る。ニンニクは薄切り。
  2. フライパンに米油とニンニク、鷹の爪を入れて火にかける。香りが立ったら小ねぎを入れて炒める。しんなりしてきたら豆腐を加えて炒める。
  3. 卵を割り入れて炒めて、カツオ節も加え、しょうゆを回しかけたらでき上がり。
子手伝い:卵を割る
アト辛おとな味:七味
ビストロパパのワンポイント・アドバイス
名脇役が、本気を出す瞬間を楽しもう。
滝村 雅晴 (たきむら まさはる) パパ料理研究家。株式会社ビストロパパ代表取締役。大正大学客員教授。男性の家事参画や共食の普及・啓発を行う。料理初心者がオンラインで学べるビストロパパの料理塾を開講。労働組合向け、食材セット付きオンライン料理教室の運営サービスが人気。いっしょに作る料理動画をYouTube「ビストロパパCHANNEL」で配信中。「きょうの料理」「3分クッキング」等出演。
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