2025春季生活闘争
米の価格が異常である。総務省の小売物価統計調査によると、1月の東京都区部のコシヒカリ5㌔平均価格は4185円と前年同月から71%上昇したとのこと。政府は重い腰を上げ、備蓄米を放出するようだ。流通の滞りが主因としているが、同じことが繰り返されないよう手だてを講じて、米価の正常化を期待したい。それにしても、食料品をはじめ、多くのモノやサービスで物価上昇の勢いが止まらない。1月の消費者物価指数を見ても前年同月よりも3.2%上がっており、生鮮食品を含めると4.0%になるとのこと。買い控えなどから、個人消費が落ち込み、景気の冷え込みを懸念する。
人々の暮らしを守り、日本経済の安定的成長のためには、物価上昇を上回る賃上げが必要であり、2025春闘における労使の社会的役割と責任が強く求められている。
1月31日に開催した第55回中央委員会において2025春闘と次期定期全国大会までの取り組み方針を決定いただいた。構成員各位にお礼申し上げる。
情報労連の25春闘方針は、(1)全体的な底上げ、(2)中小組合を中心とする格差是正、(3)春闘を取り組む組織を増やす、すそ野を広げる取り組み──を基本とする。
その上で要求水準については、月齢賃金改善で、昨年同様の3%以上、定期昇給相当分を含め5%以上とした。他産別などと比較して、低いのではないかとの声もあるが、昨春闘を見ても、全体平均で3%、定昇込みで5%を下回る妥結結果となっており、単組において、産別統一水準を上回る要求を積極的に掲げて労連春闘をけん引してもらうことを期待するが、すべての組織が底上げを図り、物価上昇を踏まえた賃上げを実現する実効ある水準として掲げたものである。
組織拡大につなげる機会に
そのカギとなるのは、中小加盟組合における春闘であり、労務費を含めた価格転嫁が図られ、産別要求水準を達成する取り組みを重視する。そのための環境整備が必要であり、産別としてのでき得る限りの対応を強化する。
とりわけ、要求できない組織をなくすことであり、要求化に向けて、中央本部・ブロック支部・県協は、当該加盟組合と連携し、最大限の取り組みを展開していく。
何より、物価高騰の中で、組合員の生活の維持・向上のために持続的に賃金を上げていくことを示し、安心感を持ってもらうことが重要になる。
あわせて、厚生労働省が実施した2024年の平均賃金の改定率の調査では、「労働組合あり」の企業では4.5%であり、「労働組合なし」の企業は3.6%と約1%の差が生じる結果が出ている。これは、労使交渉によって、働く仲間の声を代表して追求できることの証左だといえる。春闘を通じて、労働組合の強みをアピールし、組織拡大につなげる絶好の機会となる。
本誌を目にする頃には、全国単組から、重視する中小組合の春闘交渉に舞台は移っている。組合員の生活を守るため、ともに闘い抜こう。
今年は、春闘が始まり70年の節目になる。時代背景とともに春闘の位置づけや内容は変わってきたといえるだろう。しかし、春闘の目的は、組合員の生活の向上に全体で取り組み、社会全体に波及させることであり、その役割は70年間変わるものではない。