渋谷龍一のドラゴンノート2025.03

【第7編】労働組合〜ジェンダーギャップ最劣悪国でどうしますか〜本当の大変革とは?

2025/03/14

クミジョとクミダンのスレ違いは、なかなか表面化しません。労組は外向けの活動には熱心ですが、内なる問題はスルーしがちです。自分の組織のことを、アカンな、と言える労組は変革力が満々で素晴らしいですが、まれです。

例えば、ウエブサイトでトップのクミダンが顔写真入りで高らかに男女平等を宣言しているのに、集会のあいさつになると、この問題は〇〇さんに任せています、とつい本音が出てしまう。

担当者任せの本気度のなさにクミジョが落胆する瞬間です。一方では、他組織のクミジョと交流するのを制限したり、あまり情報を出さないようくぎを刺したり…。双方の考え方と行動がかみ合っていません。そこでクミジョが我慢するのなら、労組はとても働きにくい職場です。クミダンに悪意はないが誠意がない。クミジョの名言の一つです。

なぜ、そこまでスレ違うのか。しかも、そんな小さな問題は関係ないと決めつけられます。しかし、スレ違いの原因を考えると結構深刻です。クミジョを増やすこと自体が変革ではなく、小さなスレ違いをなくすことが大変革なのです。

クミダンはクミジョを知らない。気にせずに何でも言ってよ、と言うのは簡単です。でも、立場も権力も安全性も違うのに、言えるものなのかどうか。我慢して抱え込み、ためていることを想像するしかないけれど、果たして想像できるかです。

にっこり笑って何も言わないんだからOKだな、で片づけていませんか。そんなことはない! うちのクミジョは違う、と強弁するのは簡単ですが、永久にクミジョの不満や悩みを知ることはないでしょう。これからはちゃんと聞くって? 絶対に口を割らないと思いますよ。

ところが、利害関係のない第三者にはしっかり打ち明けます。じゃあそのメッセンジャーに聞くしかないでしょう。クミジョの言葉をじっと聞いてきたメッセンジャーが知っているスレ違いの原因を教えましょうか。

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。
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