渋谷龍一のドラゴンノート2025.04

【第7編】労働組合〜ジェンダーギャップ最劣悪国でどうしますか〜スレ違い

2025/04/14

クミジョとクミダンのスレ違い。それを放置する労組が日々、何事もないかのように活動を続けてきました。メッセンジャーが現れるまで誰も指摘しなかったので、ひっそりと処理したりやり過ごしてきました。正直、珍奇な日常です。

さて、なぜスレ違うのか。ひと言で言うとジェンダーバイアスに対する受信機の有無です。クミダンの多くは本音では「ジェンダー」という言葉を聞くだけで心穏やかではなくなります。何やら得体の知れない、自分の立場を悪くしかねない危険物のようです。

日本では性教育はナシ、ジェンダー教育は微弱で、バッシング経験の記憶も残っています。何もわからないはずなのに、わかろうともしません。勝手な女性像をつくり上げてあれこれしでかすくせに、加害者にされるのはゴメンだ、とがんばる、隠す、かばう。

クミジョにとってジェンダーほど安堵する言葉はありません。いくら教育が欠けていても、バッシングがあっても、実体験など材料はたっぷりあります。どうして差別と偏見が襲いかかってくるのか。その理由が明快にわかった時の納得感は忘れられません。苦しくてつらいけれど原因がわかった、自分が悪いわけではなかったと知れば、さらに学習したり、これからどうするか考える気にもなります。

ジェンダー平等が労組の「お仕事」になると、スレ違いを隠したまま一緒に取り組むことになります。だから、ある場合はクミジョにお任せになったり、形式的なイベントを繰り返したりして衝突(ささいな問題にされてしまう)が生まれます。

幸運にも歩み寄って一緒にやれたとしても、男性型組織ゆえの強力な男性的平等(女性が男性に合わせるべき)と虚弱な女性的平等(男性が女性に合わせるべき)の違いが顔を出し、苦労します。最初から目線が違うのだから、求めるものも得られるものも違って、話がかみ合いません。いくら男女が真面目に取り組んでも報われない。どうしたらよいのでしょう。

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。
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