渋谷龍一のドラゴンノート2024.10

【第7編】労働組合〜ジェンダーギャップ最劣悪国でどうしますか〜クミジョの「壁」2

2024/10/11

クミジョが増えない原因は、家族責任の重さだけではありません。この仕事がしたいから入社したはずなのに労組のことなんか知らんし。私には関係ない、やりたい人がやればいいじゃない、という女性もいます。

だいたい、ブラックな勤務実態がとってもしんどい。先輩や同僚から、労組の情報を集めてみると、土日や夜間も休めない長時間労働が改善される兆しは見られず、残業代も支給されないとなれば、拒絶したくなります。

それでも、一度やってみようかな、と思う奇特な女性もいます。でも、いるだけでいいからさ、と言われると、じゃあいなくても同じじゃない、一人前扱いしていないんだな、と。そんないい加減な人間と一緒に仕事はできないです。

ましてや、どうしても女性の役員が必要なんだ、今回は絶対に女性を入れないといけないから、女性でもできるよ、とお願いされてもね。急場しのぎの数合わせなのか、と不快になります。他の女性に断られたからだろうけれど、なぜ私に打診するのかをちゃんと言ってくれなきゃ。

本当はこれまでどおりクミダンだけの方がいいんだけどね、と思っているのが透けて見えるのなら一発でアウトです。実はクミダンたちが壁になっていて、しかもそれに気付いてない。ブレーキを踏みながらアクセルを踏んでいるようなものです。

それなのに、なぜ引き受けるクミジョがいるのか。外堀を埋められていたり、断ると収まらなさそうだったり、他の女性に迷惑がかかりそうだったり、ノーと言えない性格だったりと、いろいろです。自分にとってプラスになることがあるかも、と折り合いをつけたり、諦めの境地でクミジョになっている人も多い。

あるいは、決まらないのが当たり前になると、じゃんけんやクジ引きのルールで乗り切るケースも珍しくはありません。それほどクミジョを希望する女性は非常に少ないのが現実です。ところが、話はそこで終わりになりません。

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。
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