トピックス2026.07

情報労連 通建連合「安全フォーラム」を開催通信建設現場における安全労働の前進へ
交通誘導員の安全確保へ当事者らが意見交換

2026/07/13
情報労連と通建連合は6月18日、「安全フォーラム」を対面とオンラインを併用して開催した。会場には110人、オンラインでは290人が参加し、通信建設現場における安全労働について認識を共有した。フォーラムでは交通誘導員の安全確保を重点的に取り上げ、現場の実情や求められる対策に関して、元請け会社および警備会社、労働組合の代表者がパネルディスカッションで意見を交わした。

安全に格差は
あってはならない

フォーラムの冒頭、情報労連の春川書記長は次のとおりあいさつした。

「直近で発生した重大人身事故を極めて重く受け止めている。尊い命が失われる事故が続発したことは決して看過できない。特に工事現場の交通誘導員の安全確保に関して重く受け止めており、今回のフォーラムのテーマとした」

「近年の重大人身事故では、一般の通行車両による飛び込まれにより、交通誘導員の方が被害に遭うケースが後を絶たないという深刻な実態がある。通信建設産業は、多層的な請負構造によって支えられている。しかし、企業の規模や立場の違い、あるいは作業員か交通誘導員かという役割の違いによって、安全に格差があってはならない」

「安全は企業間で競争をする領域ではなく、産業全体で知恵を持ち寄るべき協力の領域だ。事故情報の迅速な共有、横展開による類似災害の防止、現場の声に基づく実効性ある対策をサプライチェーン全体で進めていきたい」

続いて来賓として、吉川さおり参議院議員が登壇し、「昨年、総務省の中に電気通信設備エンジニア室が初めて設置された。情報通信インフラの大切さ、それを支える現場への危機感が国をはじめ多くの人に共有されるようになってきた。現場の大切さを国政を通じて改めて届けていきたい」などとあいさつした。

続いて総務省の電気通信設備エンジニア室の柴田輝之室長があいさつし、「少子高齢化、人口減少が進む中、電気通信設備の分野でもエンジニアの確保、育成、定着が大きな課題となっている。現場を支える人材の確保が難しくなることは、安全の問題にもサービスの品質にも直結する極めて重要な問題だと認識している。情報通信エンジニア業界を持続的に支えていくため、皆さまと連携していきたい」などと述べた。

交通誘導員の実態を
基調講演

その後、特別報告として、直近の事故の経過と対策報告としてエクシオグループ労働組合の木村中央執行委員長代行と、ミライト・ワン労働組合の藤原副執行委員長が、この間の取り組みについて報告した。

次いで通建連合の増本事務局長が、2025年春に交通誘導員を対象に実施したアンケート結果の概要を報告。安全な職場づくりに向けた課題として、(1)交通誘導員と作業員のコミュニケーションの構築、(2)施行情報の共有、(3)ハラスメントの撲滅、(4)追走の安全化、(5)道路占用許可の改善──の5点に整理した。

フォーラムでは、警備業を営むキステム社の労働組合であるキステム労働組合の近藤委員長が基調講演を行い、交通誘導警備員の役割と現場における安全確保の重要性を訴えた。

近藤委員長は、警備員は制度上も現場においても必要不可欠な存在であり、安全のために必要なことを伝える際に遠慮する必要はないと強調。一方で、警備員の立場の弱さから、危険を感じても声を上げにくい実態があると指摘した。

講演では、作業車を追走する際の危険事例にも触れ、赤信号の通過や踏切内での事故に関する事例を紹介。安全を守るためには、警備員と作業員が上下関係ではなく、現場を安全に終わらせるという共通の目的を持つパートナーとしてかかわることが重要だと述べた。

また、警備員は作業員の命を守るだけでなく、工事現場の顔として地域の安心にもかかわる存在だとし、「警備員なくして現場は回らない」と呼びかけた。最後に、警備員一人ひとりが誇りと責任を持ち、より安全で信頼される現場づくりにつなげていく必要性を強調した。

続いて、情報労連の田中運動推進局部長が、情報労連が実施した「安全ヒアリング」の結果について報告した。報告では、誘導を無視する車両の危険性などが指摘された。現場からは、交通誘導員が規制帯の先頭に立たない対策や、休憩時間の確保、トイレ環境の改善を求める声も出された。田中部長は、交通誘導員と作業員が対等な立場でコミュニケーションをとることが安全確保に不可欠だとし、発注者、元請け会社、協力会社を含めたサプライチェーン全体で、安全で安心な職場づくりを進める必要性を訴えた。

通建連合の「労働安全衛生強化期間の取り組み」について通建連合の安全ワーキングの古賀座長が報告し、通建連合が作成したショート動画などを共有した。

関係者が
パネルディスカッション

安全フォーラムでは、「通建現場における安全と相互理解の未来」をテーマにパネルディスカッションを行った。キステム労働組合甲信支店の阿部総隊長、日本コムシスの松浦安全品質管理本部長、キステムの綾野東京支店長、情報労連の青木運動推進局長、通建連合の高代議長が登壇し、交通誘導員と作業員の相互理解や現場の安全確保について意見を交わした。

討論では、交通誘導員と作業員の間にある「見えない壁」が安全にも影響するという課題が共有された。阿部総隊長は、現場で交通誘導員が軽く扱われるケースがあることや、追走時の危険、誘導業務以外の手伝いを求められる実態を紹介した。松浦本部長は、施工側と交通誘導員は対等なパートナーであり、相互にリスペクトし合う関係づくりが重要だと強調。綾野支店長は、追走時の事前情報共有や警備員車両の駐車場所確保、適正な人員配置などを課題に挙げた。

また、ICTやAI信号機の活用、交通誘導員の教育、処遇改善、安全コストを「投資」と捉える必要性についても議論した。最後に、現場の意識を少しずつ変え、行動変容につなげていくことを参加者全体で確認した。

パネルディスカッションで発言する通建連合の髙代議長

安全フォーラム宣言を
確認

フォーラムの最後には、「安全フォーラム宣言」として、今後の取り組みに向けた三つの提言を全体で確認した。

第一の提言は、「安全風土の醸成」。交通誘導員を単なる「警備さん」ではなく、ともに命を守り合う「専門職パートナー」と位置づけ、「チーム通建」として相互にリスペクトし合う関係を確立することを掲げた。

第二の提言は、「技術革新の推進」。現場ニーズに即した安全機材の高度化やICTの活用を進め、交通誘導員をはじめ現場で働くすべての仲間の安全確保につなげていくことを確認した。

第三の提言は、「構造改革の断行」。発注者責任の明確化と安全コストの適正化を進め、サプライチェーン全体で安全で安心して働ける職場環境づくりに取り組むことを確認した。

参加者全体でこれらの提言を共有し、重大人身事故の撲滅に向けて行動につなげていくことを確認して、フォーラムを締めくくった。

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