特集2026.07

AIが働く人に与える影響
働き方や労務管理はどう変わるのか
「選ばれ続ける労働組合」へ
AI活用で組合活動をアップデート

2026/07/13
労働組合は、企業のAI利用をチェックするだけではなく、自らの活動にAIを積極利用することもできる。最新技術の活用で組合活動をアップデートしよう。
増本 高大 通建連合 事務局長

組合活動を今の時代に合わせて「再定義」する

情報通信インフラの最前線を担う通信建設業界において、私たち通建連合は「笑顔であふれる職場と暮らし」の実現をめざし、日々運動を展開しています。しかし今、労働組合は転換点にあります。若年層の価値観は多様化し、ワーク・ライフ・バランスや自己成長を重視する一方で、労働組合へのイメージは「保守的」な認知にとどまり、参加意欲の低下が課題となっています。

組合員から「選ばれ続け、頼られる存在」であり続けるには、活動そのものをアップデートし、エントリーバリア(参入障壁)を下げる必要があります。その強力な武器として、通建連合では本年度より「クローズド型生成AI」を導入し、活動のあらゆる場面で「使い倒して」います。

「安全な環境」で
日常のすべてをAIとともに

導入の要は、入力データが外部学習に利用されない「クローズド環境」の確保でした。これにより機密性の高い交渉資料も安心して扱えます。現在では、公式な会議だけでなく、日々の打ち合わせや何気ない会話までも録音ツールで文字起こしし、AIで分析。通建連合の運動方針や議案に沿った形で資料化するなど、事務局運営のOSとしてAIを組み込んでいます。

現場を支える
「7つの活用シーン」

私たちがAIをどのように活用し、品質向上を図っているかを紹介します。

(1) 議事録作成の劇的進化:録音から文字起こし、要約を一括処理。事前に対置企業の専門用語等を学習させているため、レジュメに沿った極めて精度の高い出力が可能になりました。

(2) 資料の要約・重点抽出:上部組織等からの膨大な資料から、通建連合の活動に直結する箇所や要請事項をAIが自動抽出。重要情報の見落としを防ぎ、意思決定を迅速化させています。

(3) リアルタイムな情勢調査:労働組合を巡る世間動向を正確に抽出。常にトレンドを把握した運動展開を可能にしています。

(4) 精緻な対置企業分析:企業IR情報を読み込ませ、分析と比較を迅速化。その結果は即座に交渉の根拠データへと反映されます。

(5) 洗練された資料作成:テキスト案をAIで構成案化し、デジタルツールで仕上げることで、説得力のある資料を短時間で制作しています。

(6) 魅力が伝わる加入説明資料:複数のAIを組み合わせ、画像・動画・音声を編集。未組織労働者に対しても視覚的に魅力が伝わる案内を内製しています。

(7) 熱量を高める応援ソング制作:通建連合の「想い」を込めた歌詞をAIで楽曲化。中央委員会で披露したオリジナルPVは、理屈を超えた団結を生む仕掛けとなりました。

知的財産のDB化:RAGが
切り拓く労働運動の未来に

さらに私たちは、AIの「RAG機能(検索拡張生成)」を活用し、通建連合が積み上げてきた膨大な知的財産をデータベース化して活用する準備を進めています。

過去の事故情報や再発防止策を学習させることで、不幸にも事故が起きた際、過去の対策や遵守状況を即座に照会し、加盟組織が現場で活用できる機能を、今まさに構築している最中です。また、過去の議案書等をRAGに保管することで、先達が築いた歴史や議論の経緯を瞬時に呼び出し、次なる活動の糧とすることができます。過去の教訓を風化させず、即座に「今」の知恵として活用する。これこそがテクノロジーによる運動の継承です。

小さな一歩から未来を拓く

私たちのめざすDXの本質は、AIを使って単に作業を楽にすることではなく、効率化で生み出された「時間」を現場の声を聴くための「対面・対話」に再投資することです。

最新技術を恐れず、学び続け、良い事例は組織の枠を超えてオープンに共有していく姿勢が求められています。テクノロジーを味方につけ、組合員から「選ばれ続ける」頼れる労働組合へ。まずは小さな一歩から、ともに始めていきましょう。

(なお、本稿の作成にあたっても、構成案の策定や表現の推敲に生成AIを活用し、執筆の効率化と品質の向上を図っています)

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