LGBT 多様な性が尊重される社会に性的指向・性自認を理由とした差別を許さない
情報労連「基本スタンス」に明記
6月を男女平等月間に設定
情報労連は、「第2次男女平等参画推進計画(2013~2019)」に基づき、「2020年にはあらゆる活動への女性参画率30%」の目標に向けて活動を展開している。この中では、女性組合員比率に応じた役員選出や会議への参画、ワーク・ライフ・バランスの一層の取り組みなど、具体的な数値目標を設定しており、取り組みの強化月間として、毎年6月を「男女平等月間」としている。
情報労連は、計画の中間年を意識して進ちょく状況の実態調査を行った。この中では「労使の話し合う場」を設置している組織において100%が行動計画の策定と、女性の進出に関する具体的な数値目標を設置して取り組んでいる実態がみられた半面、「女性のなり手がいない」「組合活動に女性が参加しづらい」「男性を含む周囲の意識改革がまだ必要」などの課題が浮き彫りになった。
情報労連は「男女平等月間」の啓発ツールとして、参画推進計画の調査結果の概要と、今後の取り組むべき目標をわかりやすく絵解きしたクリアファイルを作成した。各加盟組合や県協の全役職員を対象に配布し、情報労連の取り組みと計画の存在をさらに周知・啓発する考えからだ。各組織での工夫した取り組みの展開をお願いする。
LGBTへの理解促進
さらに強化月間の取り組みのスタートとして、2015年度「お茶の水フォーラム」を開催した。今回の「お茶の水フォーラム」では、ブロック事務局長と全国単組の男女平等参画推進の担当者を中心に、男女を問わず参加を要請し、推進計画の進ちょく状況と改正育児・介護休業法の動向を報告した。
また、「『LGBT』の基礎知識と職場における問題」と題して、LGBT法連合会の永野靖弁護士から基調講演をいただいた。LGBTに関して情報労連は、「基本スタンス」の「人権・平等政策」の中で、「性、性的指向・性自認、年齢、障がいの有無や貧富の差などにかかわらず誰にでも選択の幅が平等にある『ケイパビリティ』の保障された社会をめざす」としている。
およそ13人に1人がLGBT当事者であるとの調査結果があることからも、情報労連のほとんどの職場に当事者が存在するはずである。しかし、その一方で性的指向や性自認を理由とした差別禁止の法的な保護もない中で、LGBTの当事者は差別や偏見を恐れ、生活だけでなく職場でも困難を抱えている。情報労連は「基本スタンス」において、「性的マイノリティーの労働環境整備」として、性的指向・性自認を理由とした差別を認めないこと、「性的マイノリティーへの理解を促進する取り組みを、国、地方自治体、企業等、あらゆる社会や職場で進めることを求める」ことを確認している。
人権尊重の運動を展開
男女平等の問題は人権尊重の問題でもある。労働者は一人ひとりでは弱い存在であり、十人十色、個性や違いがある。言い換えれば、みんながそれぞれ「マイノリティー(少数派)」な部分があるとも言える。
LGBT当事者への差別は、女性への差別に似ている側面もある。「女らしくしろ」「女々しい」「男ならこうしろ」等、私たちは知らぬうちに、相手が傷つく言葉や差別的な言葉を発してはいないか顧みる必要があるだろう。
LGBTの当事者はその存在が見えなかっただけで、ずっと存在している。そうした点においても、誰もが、性別や信条、出身や性的指向・性自認によって、存在を否定されたり、差別をされたりしない真に平等な社会をめざす必要がある。「男女平等」はすなわち人権を守る取り組みであるとの幅広い視点を取り入れた運動を展開していく。