特集2016.11

「第四次産業革命」と労働運動技術革新を前向きに受け止めつつ、新しい働き方には労働者保護を堅持し対応

2016/11/14
ICT業界のリーディングユニオンである情報労連は、「第四次産業革命」をはじめとした技術革新にどう対応していくのか。変化の中でも労働者保護は堅持されるべきだ。
北野 眞一 情報労連政策局長

技術革新の未来予想図

ICT(情報通信技術)は、ここ数十年で指数関数的な進化を遂げ、IoTやビッグデータ、AI等の技術革新によるサービスは、すでに私たちの身近なものとなっている。その一部のサービスは、既存ビジネスモデルを転換させるほどのイノベーションを巻き起こしている。とりわけ、AI(人口知能)の進化は、「2045年問題」(※1)に示されるように、人間の脳の神経細胞の原理に近づき、知的・知性のあるコンピューターが実現し、現実の世界が創造を絶する変化を遂げると言われている。

他方、これらの技術革新に伴い、産業構造や就業構造等が大きく変化する未来予測が頻繁に喧伝され、雇用喪失や格差の拡大など負の側面ばかりが話題となっている感もある。さらには、ある映画のように無限のAIの進化が人類社会を滅亡させるとの想像すら呼び起こしている。

プラスに生かす発想で対応

しかし、これまでも技術革新により、産業・事業が興亡を繰り返し、人が従事する仕事が変容してきた。一方、経営・業務の効率化、ライフスタイルの進化、社会の課題解決などに貢献してきている。

情報労連は、日本が直面する少子高齢・労働力人口減少に伴う経済的・社会的課題や環境問題等の解決に向け、ICTの利活用の促進を政策として掲げてきた。ICTは、今後においても、時間や場所などの制約のない多様な働き方の実現や地域の課題解決を図るための効率的・効果的なツールとして期待されている。すでに全国8割の自治体で人口が減少し、財政破綻や限界集落・消滅可能性都市などの問題を抱える日本においては、これらの技術革新などをプラス面として前向きに受け止め、持続可能な社会の実現に向け積極的に活用することが必要と考えている。

新しい働き方にも労働者保護を

ただし、技術の進展とともに「クラウドワーカー」(※2)といわれる働き方が課題となってきている。技術革新が今後雇用にどのような実質的影響を及ぼすのか、まだわからないが、技術革新だけでなく、人々の選択や価値観が変化し、これまでの延長線上にある対応では対処不可の課題も顕在化してくるだろう。

これらの変化に対し、労働組合としての政策やその対応が求められていることは言うまでもない。雇用確保とディーセントワークの確立は労働組合の使命であり、変化の中でも労働者保護を堅持し、新しい働き方にも十分適用できる法的枠組みが重要と考える。

※1「2045年問題」とは、2045年にはコンピューターの性能が人間の脳を超えるという予測です。この予測はコンピューターチップの性能が18ヶ月(1.5年)毎に2倍になると予測した「ムーアの法則」に基づいて作られている。

※2「クラウドワーカー」とは、不特定多数の発注者と受注者を募りネット上で仲介するサービス「クラウドソーシング」を用いて仕事をしている人のこと。契約上は「自営」形式(すなわち雇用契約以外の労務供給契約)となっているが、特定の発注者との関係が強く、「雇用」の要素を少なからず有し働いている者もいることから、法律の保護が十分ではないとも言われている。

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