特集2015.12

ストレスチェック制度がスタート職場との連携強化で不調の未然予防に力点

2015/12/22
社員に対するメンタルヘルスケア対策の強化を求める声が高まっている。IT企業大手のNTTデータ健康推進室の取り組みを紹介する。

大手IT企業の(株)NTTデータ(本体社員約1万1000人)は、社員のさらなる健康増進に向け2010年、「健康推進室」を立ち上げ、従来の不調者が出た場合の個別対応から、メンタル不調者を出さないための「予防活動」に軸足を移した活動を開始した。

この背景について同室の寺田課長は、「産業保健スタッフが、より多くの社員と接点を持つことができる体制づくりをめざしました」と説明する。

長時間労働への対応

「健康推進室」には、常勤の産業医や保健師、臨床心理士など38人の産業保健スタッフが在籍している。産業保健スタッフは、社員の面接を担当するほか、社内の幅広い部署と接点をもちながら、面接後の職場改善活動などをフォローしている。

「健康推進室」の現在の重点施策は三つある。一つ目は長時間労働への対応だ。会社は、月45時間超時間外労働した社員に対し、「疲労蓄積度チェック」を実施。チェックの結果、疲労蓄積が高い社員に対して、産業保健スタッフによる面接を実施している。長時間労働が産業的な問題として認識される中で、早い段階でのスクリーニングを展開していることが特徴だ。

また、面接等の結果を職場の環境改善につなげる活動に力を入れている。寺田課長は「産業医が面接すればそれでおしまいではなく、産業医の指示に基づく改善が図られているか、特に就業上の措置が必要と判断した社員については職場におけるフォローが受けられているか、という点に着目しています。企業における安全配慮義務の履行は、産業保健スタッフと職場との連携に基づき、各組織の所属長の責任において確実に実行されなければならないものです」と話す。今後は後述するストレスチェック法制化への対応に向けて、職場の環境改善を通したメンタル不調の予防活動についても充実させていく方針であることを明らかにした。

これに関連して同社では管理職に対する研修等を手厚く実施している。新任課長や新任部長は、メンタルヘルスケアに関する研修を必ず受講するほか、ラインケアの知識習得のためメンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格取得を必須としている。

生活習慣病予防対策

二つ目は、生活習慣病予防対策。過去から集積された膨大な社員の健診データを分析した仮説から、すでに40歳の手前から生活習慣病の兆しが顕著に表れており、要医療となる境界域である35歳社員を中心ターゲットとして、自らの行動変容を促すような実践的な研修を企画し、今年度から必須研修として立ち上げた。治療が長期化する生活習慣病を水際で食い止めるべく、予防策を強化している。

ストレスチェック法制化への対応

三つ目は、ストレスチェック法制化への対応だ。寺田課長は「義務化された個人に対してのアプローチのみならず、集団分析から職場の環境改善へつなげていく仕組みの導入についても同時に実施したい」と話す。

昨今、少子高齢化で労働力人口が減少する一方でメンタル不調者の増加が問題になり、企業に対して安全配慮義務を求める声が高まっている。その中で、不調者への対応にとどまらず、職場環境そのものを改善する取り組みが一層求められている。産業医による面接や、ストレスチェック制度の結果をどこまで職場環境の改善につなげられるのか。寺田課長は、「個別の予防にとどまらず、やはり集団分析は重視したい。職場との連携強化で不調の発生しにくい職場環境づくりができればよいと考えている」と話している。

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