特集2016.03

労働時間に上限規制を民主党が労働時間の上限規制導入を打ち出す

2016/03/17
安倍政権が「定額働かせ放題」の労働基準法「改悪」法案を閣議決定したのに対し、民主党は勤務間インターバル規制を含む労働時間の上限規制の導入を打ち出している。私たちの暮らしにどちらが必要なのかは明らかだ。

「定額働かせ放題」の安倍政権

安倍政権は2015年4月3日、「高度プロフェッショナル制度」や「裁量労働制」の拡大を盛り込んだ労働基準法「改悪」法案を閣議決定した。

一つ目の「高度プロフェッショナル制度」は、いわゆる「残業代ゼロ法」「定額働かせ放題制度」のこと。制度の適用者になると、労働時間に関する基本的かつ最低限のルールの保護さえ受けられなくなる。残業代は管理監督者でも対象となっている深夜割増を含めて一切出ない。

この制度を「脱時間給」などと呼び、「成果」に対して賃金が支払われると解説するマスメディアもあるが、法案のどこにもそのような記述はない。そうした中で成果を強く求められれば、労働者は過重な負担を押し付けられ、長時間働かざるを得なくなるのは明白だ。

政府は制度導入に際して三つの健康確保措置を設けると説明するが、この規定は、いずれか一つを選べばよく、実効性には強い疑問符が付く。長時間労働を野放しにするものといっていいだろう。また、1075万円という年収要件も省令で簡単に引き下げられても何らおかしくない。

裁量労働制拡大の危険

労働基準法「改悪」法案には、もう一つ「企画業務型裁量労働制」の拡大が盛り込まれている。政府は、「課題解決提案型の法人営業」と「事業運営に関する事項の実施管理業務」をこの制度に追加した。いずれもどのような労働者が対象になるのか、適用要件があいまいであり、すべての営業職に適用が可能であるようにすら読み取れる。この制度には年収制限がないため、適用対象となる労働者の幅は「高度プロフェッショナル制度」よりもかなり広がる。そのため、入社数年後の若手社員が制度の適用者にされてしまうケースも懸念されている。

裁量労働制は、現行でも悪用する企業が後を絶たず、制度適用者が長時間労働になっているという実態もある。さらに裁量労働制には労働時間の把握があいまいになり、労災認定が困難になるという問題点もある。制度の安易な拡大は、長時間労働を助長するのは間違いない。

民主党が長時間労働規制策を打ち出す

これに対して労働組合は、すべての労働者を対象とする「労働時間の量的上限規制」や「休息時間(勤務間インターバル)規制」などの長時間労働抑止策を法的強制力のある形で導入すべきだと繰り返し訴えてきた。労働政策審議会では同法案の要綱に反対意見を付したが、政府はそうした意見を顧みなかった。

こうした中で民主党が設置した「共生社会創造本部」(岡田克也本部長)が、労働時間の規制を強化する方針を、昨年12月に発表した「中間とりまとめ」で打ち出した。

「中間とりまとめ」は、日本の先進国最長レベルの長時間労働が家庭と職場の両立を阻み、育児・介護、少子化、女性の社会進出の大きなハードルになっていると指摘し、短時間労働で効率的な働き方を追求する必要があるとした。

その上で具体的に、「1週間の実労働時間の上限を(EUでは50時間)を法律で規制すること」「勤務間インターバル規制の導入」「毎週必ず休日を取得させる絶対週休制の導入」を「中間とりまとめ」に盛り込んだ。

また、今後検討する具体的政策案として、36協定の特別条項を廃止し、月45時間を超える残業を禁止することを提示している。

前述したとおり、日本の長時間労働は、ワーク・ライフ・バランスの実現とともに、育児や介護、女性の社会進出を阻む原因となっており、少子化の流れを加速させている。現政権の政策では長時間労働の壁を打ち破ることができないのは明らかだ。

民主党「共生社会創造本部」「中間とりまとめ」から

  • 1週間の実労働時間の上限(EUでは50時間)の規制
  • 勤務間インターバル規制の導入
  • 毎週必ず休日を取得させる絶対週休制
  • 有給休暇取得率の向上
  • 36協定「特別条項」の廃止
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