特集2017.06

最低賃金を考える最低賃金の引き上げで底上げへ
連合「欧米並みの水準」めざす

2017/06/14
最低賃金の引き上げに向けて連合はどのように取り組むのか。最低賃金を担当する連合の須田孝・総合労働局長に聞いた。
須田 孝 連合総合労働局長

誰もが1000円

最低賃金は、憲法25条の生存権に基づくミニマムとしての役割と、労働に見合った適正な処遇というワークペイとしての役割があります。

連合は、ミニマム水準として「連合リビングウェイジ」と、「誰もが1000円」を掲げています。現在、地域別最低賃金が800円未満の県は38県あります。連合の短期的なターゲットは、この38県を800円以上にすることと、東京や神奈川といったトップランナーの水準を1000円以上とすることです。

さらに中・長期のターゲットとして連合は昨年1月、中央執行委員会で「最低賃金を欧米並みの水準まで早期に引き上げるべき」とする方針を確認しました。ここではアメリカで「15ドル」運動が展開されていることも意識しています。

社会全体の運動展開を図る上で「1500円」を掲げることは意義があると受け止めていますが、審議会の中で具体的な水準を決めるためには、しっかりした根拠が求められます。連合としては9月に新たな「連合リビングウェイジ」をまとめます。こうした指標など、引き上げに向けた根拠を積み上げていきます。

ランク間格差の是正

5年に1度開かれる「中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会」で、労働側は格差是正のためにランク区分の撤廃を主張しました。この間、ランクごとの目安は、基本的に同率で示されています。その結果、これまで決定されてきた地域別最低賃金水準のベースが異なる中で、同率の目安額では格差が拡大してしまうのです。ランク区分を廃止するか、目安を各ランク同額、あるいはゾーンで示すことを主張しました。

このため、新たな指標を用いて現在の最低賃金と地域の経済状況等を点検することにしました。その結果、いくつかのランクに分けざるを得ないということになり、四つのランク区分は維持されました。しかし、これはランク区分が四つありきの決定ではありません。調査の結果、埼玉、山梨、徳島のランクが変更となりました。今後は目安の示し方によって、ランク間格差を是正する工夫が求められます。

適正な価格転嫁で底上げを

連合は、最低賃金の引き上げに関して、引き上げ率ではなく、最低賃金のあるべき水準を重視した議論が必要だと訴えてきました。その水準とは、「連合リビングウェイジ」であり、「誰でも1000円」です。政府は「加重平均1000円」を掲げていますが、これでは人口の多い大都市圏の最低賃金が引き上げられればクリアしてしまいます。これでは意味がありません。

審議会の中で使用者側は「支払い能力」論を訴えますが、私たちは「最低賃金も払えないような企業には社会的な存在意義がない」と言っています。中小企業の数は確かに減少していますが、減った理由は後継者不足による廃業で、倒産ではありません。最低賃金が上がって倒産したという企業は統計上ゼロです。

最低賃金の引き上げ分は販売価格に適正に反映させるべきです。社会全体が「底上げ」を訴えているときに、付加価値をきちんと評価し、適正な価格転嫁を行うことはとても重要です。短期の利益至上主義の観点では、コストは安い方がいいですが、それでは働く人やその家族は生活を維持できず、格差は拡大し、社会は歪みます。社会の持続可能性のために最低賃金を引き上げることが必要です。

特定最賃に関しては、関係労使の間で企業内最低賃金協定(労働協約)を締結していることが重要です。連合加盟組合で企業内最低賃金を締結している組織はおよそ半分しかありません。まずは、すべての加盟組合が企業内最低賃金協定を締結し、その範囲と水準を向上させることが求められています。

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