巻頭言2018.07

UNI世界大会

2018/07/13

グローバル経済と労働組合

情報労連が加盟する「UNIグローバルユニオン」の第5回世界大会が、6月17~20日、イギリス・リバプールで開催された。

UNIは2000年1月、四つの国際産業別組織が統合し、「ピープル・ファースト」を掲げて結成されたグローバルユニオンで、世界150カ国・900組織・2000万人のサービス産業に従事する労働者を組織している。

大会では「労働組合と労働の未来」「平和な世界、民主主義、人権を求めて」など、10の議題について熱心な討論が展開されたが、政治・経済・社会が劇的な変化を遂げ、グローバル化が急伸する今日的状況にあって、各国の労働組合が抱える課題もグローバル化しており、国際労働運動の重要性がますます高まっていることについて再認識する大会であった。

議題の一つ「持続可能なグローバル経済のための労働組合」では情報労連としても発言を行ったが、

(1)健全なグローバル経済の形成は国民生活の要であり、貿易や投資においては人々と地球を第一に考えなければならないこと。

(2)今年3月に署名された「TPP11」に盛り込まれたILOの「中核的労働基準の順守と環境条項」については、経済連携を持続可能なモデルとするために必要不可欠なものとして一定評価できること。

(3)現状進められている「TPP11」よりもさらに大きな経済圏となる「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」の協議については、この種の労働に関する章が欠落しており、労働や環境の条項を盛り込む重要性。

─等について訴えたところである。

UNIとしてのさらなる取り組み強化に期待したい。

Making It Happen 実現しよう

他の国際労働組合組織との比較において、質・量ともに秀でていると言われるUNIの運動。

昨今ではCNNやBBCなどのメディアに対する積極的な政策発信や、昨年ノーベル平和賞を受賞したICANをはじめとするNGO等との連携も強化しており、その実効力は着実に高まってきている。

4年ごとに開催される世界大会では、毎回思いを込めた“テーマ"を掲げ、具体的戦略計画の達成をめざしてきたところであるが、イマジン/創造しよう(第二回大会・シカゴ)、ブレイキングスルー/突破(第三回大会・長崎)、インクルーディングユー/共生(第四回・ケープタウン)。そして、今次大会は“Making It Happen/実現しよう"であった。

「心合わせ」「意識合わせ」の時代を経て「実現」に向けて舵を切ったUNI。

今次大会は発足から書記長を務めてきたフィリップ・ジェニングスが勇退する節目の大会でもあったが、新たに選出されたクリスティ・ホフマン書記長を中心としたリーダーシップの下での、一層の飛躍に期待したい。その上で、情報労連もUNIの中核組織としての積極的な参画が求められていることを肝に銘じつつ、今後ともUNIの政策実現に向けた取り組みに積極的に関与したい。

野田 三七生 (のだ みなお) 情報労連中央執行委員長
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