第197臨時国会
第197臨時国会がスタート
第197臨時国会がスタート(10月24日)している。
先の通常国会における『働き方改革』をはじめとして、ここ数年来の国会を振り返ったときに、一強政治がもたらすおごりや、数の力を背景にした暴挙が繰り返される状況の中で、国民・有権者にとっては、憤りとともに強い問題意識を持たざるを得ない状況が続いてきた。
「熟議の上での合意形成」に向けた立法府としての役割が果たされてきたのか。甚だ疑問であり、とりわけ、政権・与党に対しては、これまでの数次にわたる国会運営について猛省し、今臨時国会においては、安倍首相の常とう句である『丁寧かつ真摯な運営』の実践を求めたい。
さて、第197臨時国会の焦点は、先の相次ぐ自然災害で甚大な被害を受けた被災地の復旧・復興を柱とする「2018年度補正予算」や「憲法改正」であるが、加えて、外国人労働者の受け入れ拡大をめざす『出入国管理及び難民認定法(入管法)改正』も重点法案の一つ。
少子高齢化が急伸し、人手不足が深刻化する今日の日本にあって、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた論議が活発化しているが、政府は、6月に策定した『経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)』において、「即戦力となる外国人材を幅広く受け入れる」ための『新たな在留資格の創設』をうたい、明年4月の導入をめざしている。
法務省がまとめた2017年末の在留外国人は過去最多の256万人。また、日本国内で働く外国人労働者数(厚労省調査)は、128万人(2017年10月末)で、これまた史上最多(前年比18%増)となっている。
国別では中国の29.1%を筆頭に、ベトナム(18.8%)、フィリピン(11.5%)と続き、近年ではベトナムやネパールからの労働者が急増しているとのこと。
このような中で、最近、街で見掛ける外国人労働者のほとんどは「留学生」や「技能実習生」であるが、とりわけ、国際貢献を目的とする「技能実習生」においては、行官庁が実施した調査の実に7割の実習機関で法令違反が認められたところである。
権利保障や受け入れなど時間を担保し「熟議」を
「1.64倍」となっている有効求人倍率の一方で、“人手不足”が日本における喫緊の課題であることは認識しつつも、今回の「単純労働」にまで外国人労働者を拡大しようとする動きは、これまでの「専門的・技術的分野への受け入れを積極的に推進する」という『入管法』の概念を180度転換するものであり、現状制度における多くの課題とともに、拡大する際の多くの問題点について真摯に向き合うべきである。
具体的には、(1)国内の雇用や労働条件に及ぼす影響(2)産業への影響(3)使用者との交渉力が弱い外国人労働者の一層の権利保護(4)生活者の視点(社会保障・教育・公共サービス・防災・多文化理解の促進など)(5)社会的コスト負担─等。
経済・産業の側面のみならず、労働や人権の側面、さらには受け入れる私たちの意識改革を含めたアプローチが不可欠であり、十分な審議時間を担保した上での国会における『熟議』を求めたい。