巻頭言2020.04

新型コロナウイルスへの対応

2020/04/15

新型コロナウイルス 予断を許さない緊迫した状況

昨年12月の中国における『新型コロナウイルス』の発症報告から4カ月。“パンデミック”や“クラスター”、そして“オーバーシュート”や“ロックダウン”etc、聞きなれないフレーズが日常にあふれる中、世界の感染者は指数関数的に拡大している。

現状(3月30日)では、感染の中心がアジアから欧米へと移行し、感染者は177の国・地域へと拡散、70万人の罹患者と3万4000人超の死者数が報告されている。

この間、WHO(世界保健機関)は、「パンデミック(世界的大流行)」を宣言(3月11日)、23日には感染の拡大が加速(10万人超えに67日、20万人超えに11日、30万人超えに4日)する状況から“パンデミックが加速している”とのメッセージを発信した上で、各国の連携による「検査の実施」や「隔離による封じ込め」を改めて要請したところである。

“世界中が戒厳令のよう”とは大手航空会社の言。「国境封鎖」「都市閉鎖」「外出禁止」などの行動規制は全世界で20億人にも及んでいるとのことであるが、かつて、「人類の歴史は、ウイルスとの戦い」ともいわれ、1918年に世界を震撼させた『スペイン風邪』では、世界人口(当時)の27%(6億人)が罹患し、数千万人(2000万〜4000万人)が死亡したとの記録が残る。

今次感染のピークアウトすら見通せない現状にあっては、残念ながら、「SARS(2003年)」や「MERS(2012年)」を超える“ウイルス禍”となっており、今後も予断を許さない緊迫した状況が続くことを覚悟しなければならない。

加えて、「人・モノ・金」の流れが途絶えたことによって、『リーマン・ショック(2008年)』を超える経済・金融危機が確実視される中、すでに表面化している社会・経済・企業活動の悪化に対しては、大規模な金融・財政支援を急ピッチで進めようとしている。今こそ、各国リーダー(政治)の“自国第一主義”を排した連携による感染の拡大阻止と、終息に向けた共同行動を強く求めたい。

加盟組合対応を強化

このような中、日本においては、ダイヤモンド・プリンセス号での船内感染への対処をはじめ、安倍首相が唐突感と混乱の中で要請した小・中・高校等の一斉休校や各種イベントの中止、海外渡航や入国に対する制限、“不要不急”の外出禁止や自粛──等々、さまざまな対応を講じてきたところであるが、今後に向けては、大きく落ち込んだ経済と国民生活の再建に向けた企業に対する支援や休業・生活支援など、大胆かつ速やかな対策等の実施を求めたい。

この間、情報労連は、加盟組合(当該企業含む)における組合員・社員・家族の罹患状況はもとより、当該企業の感染防止対策や事業への影響等を把握するとともに、国や自治体が策定・決定した緊急支援対策等の周知・徹底に努めてきた。

今後は、感染の拡大状況や、行政の要請を踏まえた労働組合としての臨機な対応が訴求される。当面の日程とともに“1年延期”が確定した「2020東京オリンピック・パラリンピック」等を念頭に、明年開催の第60回定期全国大会(基軸大会)までの諸会議・行動についても早急に検討し確定する。

野田 三七生 (のだ みなお) 情報労連中央執行委員長
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