2021年に向けて
2021年も試練の年に産別運動の前進を図る
“庚子(かのえね)2020年”も残すところあとわずか。残念ながら今年の重大ニュースのトップは、『COVID──19(WHOが命名した呼称)』であろう。
最初の感染があったとされる時期から約1年を迎えようとする今日(11月末)、世界の感染者は6200万人(死者145万人)に及び、世界は、再び拡大局面(第2波)を迎える中、一日当たりの罹患者は約60万人(死者は約1万人)で推移している。新年早々、感染者数の合計は1億人(死者200万人)を想定せざるを得ない厳しい局面を迎えている。
これらの状況は、日本においても同様であるが、ワクチンの開発が急ピッチで進められてはいるものの、迎える“辛丑(かのとうし)2021年”も試練の一年となることは論をまたない。
現状、情報労連は、『2021春季生活闘争方針』と7月に予定する第59回定期全国大会(基軸大会)までの諸活動について意思統一を行う第51回中央委員会(1月28日)の準備段階にあるが、今後も、試行錯誤を繰り返す中で、産別・情報労連としての運動の前進をめざしたい。
杉山豊治君をしのんで「21世紀デザイン」を引き継ぐ
そのことを申し上げた上で、「巻頭言」としては異例であるが、去る11月9日、志半ば(享年58歳)で旅立った『杉山豊治君(情報労連特別執行委員)』に対する感謝の気持ちを述べることについて、理解を得たい。
杉山豊治君の労働組合役員としてのスタートは、KDD労組(現KDDI労組)の中央執行委員(1998年)。その後、情報労連(2002年〜)、連合(2009年〜)の要職を経て、2014年に着任した連合総研(連合のシンクタンク)では、主任研究員、そして直近では副所長(実務のトップ)として獅子奮迅の活躍をいただいてきた。
実に20年を超える役員歴の中で、一貫して労働組合の「政策づくり」にかかわり、多くの知見を積み上げる中から、さまざまな政策や提言を策定・発信していただいたが、情報労連ということで言えば、2006年の第45回定期全国大会で決定された『情報労連21世紀デザイン』の策定に中心的メンバーとして尽力をいただいたことが極めて印象深い。
「暮らしやすい社会」をめざす情報労連の政策と新たな行動をうたい、「三つの政策(総合労働政策・社会保障政策・情報福祉政策)」と一つの行動(社会から共感される行動)で構成された政策集であり、現状、情報労連が進めている運動の“座標軸”となっているもの。
その当時に「ケイパビリティ」や「時間主権の確立」などのワードが登場することに驚くばかりであるが、情報労連が、今も継続している“基本スタンス”の策定をはじめとして、大学生と社会人が「働くこと」について意見を交わす“明日知恵塾”、社会貢献としての“明日Earth”等の活動は、この“21世紀デザイン”が起点となっているものである。
2年後、情報労連は60周年を迎えるが、情報労連の役員・派遣役員として、その職責をまっとうし、数々の足跡を残していただいたことに深甚の敬意と感謝を申し上げるとともに、故人の冥福を祈りたい(杉さん、ありがとうございました)。