巻頭言2021.03

「総合生活改善闘争」をベースに 着実な実践を

2021/03/15

「総合生活改善闘争」をベースに着実な実践を

本誌(3月号)の到着時、情報労連の「2021春季生活闘争」は、3月5日の「総決起集会(リモート集会)」を経て、全国単組(NTT労組・通建連合・KDDI労組)の集中回答日(3月17日)に向けた交渉のヤマ場を迎えている。

各種報道では、コロナ禍という非常事態の中で、連合春闘総体の厳しさが伝えられるところであるが、その後に続く中小を含めた各加盟組合のさらなる厳しさが想定されるだけに、連合の「第一先行組合回答ゾーン(3月15〜19日)」で妥結・決着をめざす情報労連の先行組合に対しては、爾後の“春闘の流れ”をつくるためにも、“原要求の獲得にこだわる、粘り強い取り組み”を要請する。

第一先行組合の回答以降、情報労連の春闘は、中小を含めた加盟組合の取り組みへと移行するが、各加盟組合に対しては、コロナ禍による多くの困難があることは重々承知した上で、今次春闘の位置づけである「総合生活改善闘争」をベースとした基本動作(要求の確立〜提出〜交渉の徹底強化による妥結・決着)の着実な実践を求めたい。

要求に基づく労使の真摯な論議は、今次非常事態下では極めて大事な労使の営みである。要求の獲得もさることながら、当該企業の事業動向等の把握、さらに、ここ数年の「労働基準法」をはじめとする「労働関連法制」の改正や、判例等を踏まえた各種労働条件の精査・見直し等、多くの課題を抱えた今次春闘でもある。

『働き方改革』にかかわる法案としては、(1)本年4月1日の施行となる『同一労働・同一賃金』にかかわる法律の中小企業に対する適用拡大や、(2)高齢者の働く環境整備を目的とした『高年齢者雇用安定法』、さらには、(3)中小企業における『ハラスメント防止対策(22年4月1日)』や、(4)『割り増し賃金率の猶予措置廃止(23年4月1日)』への対応──などがある。

とりわけ、パート・有期契約労働者等の待遇改善を目的とする『同一労働・同一賃金』については、いくつかの最高裁判決により“雇用形態の違いによる処遇の違いが不合理か否か”の判断基準(概括的には、「諸手当や休暇制度の違いは不合理である」との判断)が鮮明化されたところであり、各加盟組合に対しては、当該企業の現行制度を早急に精査する中から、適宜適切な対応を要請しておきたい。

社会的課題へのアプローチとしての情報労連最低賃金協定

以上、申し上げた上で、情報労連が長年にわたり重視してきた「最低賃金の取り組み」について、企業側の主張(「情報労連最低賃金協定」の無用論)もあることから、個人的見解を含め若干申し上げておきたい。

本件は、ステークホルダーである労働組合としての重要な取り組みの一つであり、1997年をピークに一貫して下落している「実質賃金」や、「法定地域最賃」を含めた日本の「賃金水準」が、国際的比較においても極めて低位となっており、そのことが、「日本における『格差・貧困・分断』を助長し、ひいては、日本経済の自律的成長を阻害する大きな要因になっている」との強い問題認識に立って要求しているもの。まさに社会的課題へのアプローチであり、各社の理解を求める中から今次要求の決着に全力を上げることとする。

野田 三七生 (のだ みなお) 情報労連中央執行委員長
巻頭言
特集
トピックス
常見陽平のはたらく道
ビストロパパレシピ
渋谷龍一のドラゴンノート
バックナンバー