巻頭言2021.04

2021春闘 賃上げの流れを中小に

2021/04/14

2021春闘賃上げの流れを中小に

4月の声を聞き、連合総体としての“2021春季生活闘争”は、3月15日以降の第一・第二先行組合回答ゾーンにおける各構成組織の妥結・決着を経て、中小組合を中心とした取り組みへと移行している。

第2回集計結果(3月26日)における賃金改善の状況は、平均賃金方式(定期昇給込み・加重平均)で5515円(昨年同期比▼365円)、賃上げ率は1.81%(昨年同期比▼0.13%)で、要求を掲げた“2014春闘”以降では最も低位の回答結果となっている。

このことは、コロナ禍における企業業績の悪化や、そのことを踏まえた組合サイドの自制的要求、さらには、今後の不透明な経済動向や当該企業の事業運営──等を背景として、この春闘における雇用問題に傾斜した厳しい労使間論議を反映したものと推察するが、今後の中小組合を中心とした取り組みは、“みんなの春闘”を標榜してきた連合にとっての“正念場の取り組み”となる。ポストコロナをも展望した“分配構造の転換による経済の自律的成長”は社会的命題であることを改めて共有したい。

このような中で、情報労連の春闘は、先行組合(全国単組等)の集中回答日(3月17日)以降、逐次、妥結・決着の報告を受けているところであるが、今次春闘における「要求書」の提出対象企業数は413社。本日(3月31日)までに『要求書』を提出した企業数は256社で、そのうち妥結・決着に至った企業数は201社となっている。

概括的には、昨春闘との比較においても遜色のない妥結・決着となっており、一時金や同一労働同一賃金・その他要求を含め、「連合春闘の一翼を担う結果」が報告されている。この流れを今後の中小組合を中心とした労使交渉につなげるべく、さらに取り組みを強化することとしたい。

熊谷千葉県知事のさらなる奮闘に期待

さて、熊谷俊人氏(情報労連・NTT労組出身)が挑んだ千葉県知事選挙(3月21日投開票)は、一都三県(東京・埼玉・千葉・神奈川)に対する「緊急事態宣言」が再延長される中での選挙戦となった。

投票率は38.99%で、決して誇れるものではないが、今日のコロナ禍、そして投票日当日の荒天(春の嵐)を踏まえれば、前回投票率を7.81%上回ったことは、閉塞感と不安感が蔓延する非常事態宣言下で、政治的リーダーシップを望む県民の切実な意思表示に他ならない。

結果、140万余票(史上最多)を獲得し、次点の自民党候補に大差(約100万票差)をつけての当選であったが、このことは、2009年の就任以降、徹底した“対話主義”と“現場主義”を貫くとともに、“有言実行”を旨とし、千葉市長の職責と向き合ってきた熊谷俊人氏のひた向きな政治姿勢と実績に対する県民の評価であり、今後への期待でもある。

2020年9月に発刊された『千の葉をつなぐ幹となれ』(熊谷俊人著)からもそれらのことは伺い知ることができるが、若き(43歳)政治リーダー(4月5日就任)のさらなる奮闘に期待したい。

野田 三七生 (のだ みなお) 情報労連中央執行委員長
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