巻頭言 UNITE2022.05

札幌高裁での和解に続き大きな成果全ベルコ労組が中労委で和解

2022/05/13

3月30日、「全ベルコ労働組合不当解雇事件」に対する中央労働委員会(以下、中労委)での和解が成立した。1月26日の札幌高裁での北海道労働委員会命令を前提とした和解に続き、組合側に成果のある内容となった。

この成果は、7年半にもおよぶ連合・連合北海道・労働弁護団・北海道協議会など、関係された多くの方々の粘り強い努力の結果であり、深甚から感謝を申し上げるとともに、何よりも当事者となった全ベルコ労組高橋委員長・豊田書記長の厳しい圧力にも屈せず最後まで闘い続けた姿勢により結実したものであり、心から敬意を表する。

本件は、冠婚葬祭業大手「ベルコ」の代理店で労働組合を結成しようとした全ベルコ労組高橋委員長と豊田書記長の2人が実質解雇されたことにより、不当解雇を裁判所に提訴し、並行して不当労働行為に対して労働委員会に申し立てをしてきたものである。

ベルコ社は、業務委託による経営方式をとり、業務委託先の代理店が従業員を雇用し、ベルコの葬祭施設に出向かせ働かせている。業務委託では、委託元と委託先の従業員の間に雇用関係がないため、各種労働法に規定される「使用者」に該当しない。従って、対等な契約が委託契約の原則であることから委託元は委託先従業員への指揮命令や支配ができない。昨今、従業員を直接雇わず業務委託で労働力をまかなうビジネスモデルが増えており、労働関係法令の抜け穴をついた働きを強いて、業務委託契約等を濫用した使用者責任が問われない事例が増えている。ベルコ事件の裁判と労働委員会における争点も業務委託を隠れみのとした「使用者性」が問われたわけである。

第一審の札幌地裁では、労働実態を顧みない労組側敗訴の判決を受けて労組側より控訴、反対に北海道労働委員会では、「使用者性」を認めた救済命令が出され、ベルコ社側から中労委に再審査の申し立てがなされ、札幌高裁、中労委に移っての審理が進められた。1月26日に札幌高裁で全ベルコ労組委員長と書記長の2人の復職ならびにこの間の賃金の支払い等の和解が成立し、3月30日には、中労委で実質的な団体交渉を行うこと、代理店を通じ不当労働行為をせしめないことを主たる内容として和解した。いずれもベルコ社が和解に応じたことが極めて重要であり、大きな成果を勝ち取ることができたと言える。今後のベルコに関する他の訴訟などへの波及にも大いに期待が持てるものである。

あいまいな雇用への
対応が急務

全ベルコ労組の取り組みは、これからが重要となる。健全な集団的労使関係を築くことが何より重要であり、そのためには、全ベルコ労組の組織強化と組織拡大を行っていく必要があることから、情報労連は、連合などとも十分連携して全ベルコ労組と連帯した対応を行っていく。

本件でも明らかになったように、多様化・複雑化した働き方で、あいまいな雇用者と呼ばれる不安定な立場で働く人が増えている実態において、こうした人たちを保護する労働法令を整備する必要がある。さらに言えば、司法・行政対応の時間的問題も指摘しておきたい。7年は、あまりにも時間がかかりすぎており、たとえ復職できたとしても時間的なロスは働く人にとって、大きなマイナスとなる。本件で浮き彫りになった課題などにも声を上げていきたい。

安藤 京一 (あんどう きょういち) 情報労連 中央執行委員長
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