円安や物価上昇への対応
政治は実効性ある政策を
総務省は、9月の消費者物価指数の上昇率(生鮮食品除く)が3%となり、31年ぶりの高水準になったと公表した。物価上昇ペースが一段と加速しており、家計の負担に重くのしかかってきている。
岸田政権が発足して1年がたった。「聞く力」を強調した政権は、衆議院・参議院の両選挙に勝利を収めたものの、最近の内閣支持率の低下が示すとおり、円安・物価対策を含め実効ある政策に乏しい。社会を分断した国葬の強行、旧統一教会と閣僚等とのかかわりについても、納得のいく説明がなされない。少子高齢化対策や持続可能な気候変動対策、健全な財政の確立など、中長期的課題への具体策も示されていない。防衛費の増額や敵基地攻撃能力など防衛力の抜本的強化に取り組む姿勢は目立っている。これでは、国民の生活に寄り添った政治がなされているとはいえない。
このような中、第210臨時国会が10月3日から12月10日まで、69日間の会期で始まっている。ご存じのとおり、野党が臨時国会の開会を要求してから2カ月あまりたってようやく開いたわけだ。
課題山積であり、7月の参議院議員選挙後初めてとなる本格的論戦により、国民に寄り添った実効ある政策を期待したい。中でも急騰する物価に対して、困窮する国民が、安心して暮らせる対策を求める。政府は、第2次補正予算案をはじめ、衆議院選挙区定数「10増10減」を反映した公職選挙法改正案、新たな感染症危機に備えて医療提供体制を整える感染症法改正案など、18本の法案を提出する予定だ。他にも、国葬におよんだ判断やルールの策定、旧統一教会問題と閣僚との疑惑解明など、枚挙にいとまがないが、岸田政権が本気で国民の暮らしに向き合うかが問われている。
働く者の視点での政策実現を
これまでの所信表明や答弁では、岸田首相をはじめとする閣僚の姿勢は、正面から疑問に答えなかったり、従来の説明をなぞるだけだったりと、「真摯に謙虚に丁寧に向き合う」と表明した言葉が空しく響く。また、第2次補正予算案は、10月に取りまとめる総合経済対策の裏付けとして、11月に提出される見込みであり、極めて窮屈な日程となることから、十分な審議ができるのか懸念される。
遅きに失したが、旧統一教会とのかかわりについて、野党などから追及され、山際大臣が辞任した。他にも波及するか注目されているが、岸田首相の任命責任は重いといえる。やはり、国会を開き、与野党の緊張ある論戦により、政治の修正がされる意義は大きい。野党の役割は重要である。
情報労連は、国民の生活に寄り添った与野党の政策論争と実効ある対応を求めるとともに、立憲民主党には、多くの課題をはらんだ岸田政権の徹底追及と働く者・生活者・納税者の視点での政策実現への対応を求める。
間もなく出る今夏の参議院選挙のアンケート調査の結果を分析し、組合員の政治意識・動向などを確認し、政治啓発を強化していきたい。迫りつつある来年4月9日、23日の統一地方選挙への準備を各地で始めていくこととする。