巻頭言 UNITE2023.05

第20回統一地方選挙を終えて

2023/05/15

第20回統一地方選が終わった。情報労連は、前半戦4月9日の道県議・政令指定市議選に、組織内・準組織内・重点候補15人を擁立し、9人が当選、6人が惜敗する結果となった。後半戦23日の市議・町議・東京特別区議選には、16人を擁立し、15人当選、1人が惜敗した。

全国各地で、日夜懸命に取り組まれた加盟組合・ブロック支部・県協役職員・組合員・退職者の皆さんに心から敬意と感謝を申し上げる。

情報労連は、第20回統一地方選挙を「住民自治に基づく地域福祉の向上と地域産業の活性化を通じた雇用の創出確保等、生活基盤の安定・安心に向けて取り組む最も身近で重要な選挙」と位置付け、組織内・準組織内・重点候補をはじめ、推薦候補者全員の必勝をめざし、取り組みを展開したが、予想以上に厳しい結果となった。特に、県議・政令市議選の難しさを改めて感じた。選挙で、いくつかの課題も見えてきたところであり、今後に向けて十分な総括をしていきたい。

日本全体の課題も浮かび上がっている。その一つが、歯止めがかからない投票率の低下である。多くの自治体で戦後最低を記録した。コロナで顕在化した地域医療・保健行政のあり方、少子高齢化、人口減少、過疎化など、地方自治体が抱える課題は、山積しているにもかかわらず、有権者の政治参加は低下したことになる。将来不安を抱える人は多くいるはずなのに、政治への期待は諦めているのか、だとしたら、民主主義が機能不全を起こしているといえる。政治の責任は大きい。

そして、もう一つが、無投票当選が多かったことだ。前半戦では総定数の4人に1人が審判を受けずに議員になり、後半戦の市長選でも約3割が無投票になるなど、住民に身近な地方議会で、有権者の選択の機会が奪われている事態は、地方自治を掘り崩す危機であり、看過できない。背景には、政治家への魅力の乏しさや人口減少・過疎化といった問題と密接にかかわり、なり手不足が深刻化している。選挙にチャレンジするリスクが大きいことや環境が整備されていないなどの要因もいくつもあると思われる。対策しなければさらに広がる一方であり、政治の責任は重い。

候補擁立へ努力

情報労連では、選挙を経るごとに、引退などにより組織内議員が減っている。組織内議員等の議会活動は、組合の政治活動と切り離せないものであり、加盟組合・ブロック支部等と必要性を共有し、新たな発掘を含めて組織内候補の擁立に努力していきたい。今回、NTT労組以外の加盟組合から新人を含めて5人の当選を勝ち取っている。情報労連が政治活動を推進していく上で、組織の広がりは、大きな成果である。

23日同日に行われた五つの衆参補欠選挙では、立憲民主党は、大分選挙区、千葉5区選挙区で善戦したものの、擁立したすべてで惜敗した。千葉5区のように野党候補の調整ができなかったなどの敗因もあるが、基盤の弱さと有権者からの期待感の薄さの表れといえるだろう。立憲民主党には、十分な総括を行い、政権を担えるもう一つの選択肢となれるよう全力で取り組んでいただきたい。

これにより、今後の政治が大きく動き出す可能性がある。動向を注視し、解散総選挙も視野に入れた準備を進めていかなければならない。取り組みの基本は、政治啓発活動である。

安藤 京一 (あんどう きょういち) 情報労連 中央執行委員長
巻頭言
特集
トピックス
巻頭言
常見陽平のはたらく道
ビストロパパレシピ
渋谷龍一のドラゴンノート
バックナンバー