SOGIにかかわらず
働きやすい職場へ
ダイバーシティーを進めよう「風土づくりに終わりはない」
多様な社員が「挑戦」できる環境づくり
LGBT施策の目的
「ソフトバンクは、創業以来さまざまな会社を合併してきた歴史を持ち、多様な価値観を持つ会社の集合体とも言えます。そうした成り立ちから、ソフトバンクの会社の考え方の基本にはダイバーシティーがあります。年齢や性別、国籍、障害の有無などに関係なく、多様な社員が個性や能力を発揮できる環境の整備に積極的に取り組んできました。LGBTQ+の取り組みについても、誰もが働きやすい環境を整えるという観点では同じです。一人ひとりがやりがいと誇りをもって活躍できる企業をめざしています」
ソフトバンク株式会社でLGBTQ+施策を担当するワークスタイルデザイン課の大神田賢翔課長は、同社のLGBTQ+施策の目的をこう説明する。
制度の整備と風土づくり
ソフトバンク株式会社のLGBTQ+施策には、大きく分けて二つの取り組みがある。
一つ目は、制度と環境の整備。二つ目は、風土づくりの促進だ。
制度の整備は、早い段階から取り組み始めた。2016年には、同性パートナーを社内規定の配偶者の定義に含め福利厚生を利用できるようにし、2017年には、社内規定に差別やハラスメントの禁止を明記、従業員向けのeラーニングを開始した。また、LGBTQ+に対する理解増進などに取り組む有志の「アライ」の活動を支援。有志社員によるアライと当事者のコミュニティ「カラフルプロジェクト」は、LGBTQ+関連の情報をまとめた社内サイトの運営やメールマガジンの配信、イベント開催を行っている。会社としてプロジェクトの取り組みをサポートしている。
2019年からは全社員でダイバーシティーについて考える期間として「ダイバーシティーウィーク」を毎年2〜3月に設け、セミナーやイベントを開催。コロナ禍では、LGBTQ+をテーマにした映画『カランコエの花』を希望した社員がオンデマンドで鑑賞できるようにした。
社外との連携では、2018年から東京レインボープライドの趣旨に賛同し協賛、「EqualityActJapan」に賛同するなど、社会的な発信にも力を入れている。
トランスジェンダーへの対応として、従業員は、自認性の社内呼称を登録できるようにし、採用エントリーシートに性別補足欄を新設し、会社に申告できるようにしたりしているほか、性別にかかわらず利用できるトイレの設置情報を社内イントラサイトで掲載している。
挑戦できる環境をつくる
こうした取り組みの結果、LGBTQ+に関する社内の理解度は上がっています」と同課の小川茉耶さんは話す。
今後の課題について大神田さんは、「制度があっても現場の理解がなければ使われません。さらに働きやすい環境となるように、引き続き制度の社内周知やセミナー、イベントなどを開催し理解浸透を進めたい」と話す。
また、ハラスメントに関しては、「風土づくりには終わりがありません。何気ない一言で相手を傷つけてしまうこともあります」と話す。
小川さんは、「セミナーでは当事者の方から自身の体験を話していただくと社員に響くことが多いです。上司・部下、同僚との関係や、取引先との関係も含め、自分ごととして捉えてもらえるシチュエーションを事例として扱うように心がけています」と話す。今後もさまざまな場面を捉えて啓発活動を展開していく。
今後の展望について大神田さんは「ソフトバンクは、挑戦することを大事にしている会社です。会社という同じ船に乗る中で、性的マイノリティーであることを理由に『自分にはできない』と思うような人をなくしていきたい」と強調する。
小川さんも、「活躍を阻む壁を取り除き同じスタートラインに立ってもらうことが目的」と話す。
会社には多様な従業員がいる。従業員一人ひとりが「挑戦」できる環境を整備するために、ソフトバンクでは継続した風土づくりに取り組んでいる。