巻頭言 UNITE2023.12

パレスチナ自治区
ガザ地区での軍事衝突

2023/12/13

やり場のない憤りを感じる。10月7日にイスラエルとハマスの軍事衝突が始まって50日近くがたつ(執筆時点)。イスラエル軍の地上侵攻や空爆により、パレスチナ市民のおびただしい犠牲者が出ている。ガザ地区では、これまで、1万4800人以上が死亡し、そのうち6000人以上の子どもが命を奪われた。国連関係者も100人を超える死者が出ているといわれる。人口の4分の3近い170万人以上が家を失ったとされる。

イスラエル軍は、病院や学校などの民間施設、難民キャンプなど、無差別といえる攻撃を繰り返している。イスラエル側は、病院内にハマスの司令部が置かれているなどの理由から、攻撃を正当化しているが、真実なのか、虚偽なのかはわからない。仮に真実であったとしても、イスラエル軍の包囲や攻撃により、ハマスの戦闘員以外の罪のない患者・医療関係者・避難民、大勢の子どもや女性たちが命を落としているのは紛れもない事実だ。

ハマスの突然の攻撃によりイスラエル人約1200人が犠牲となり、240人以上が拉致され人質になっており、ハマスは、今も人質を盾に戦闘を続行していることをみれば、イスラエルの反撃は、人質の解放や自衛権行使といえなくもなかったが、イスラエル軍の攻撃で犠牲となっている多くは、の民であり、国際法で認める自衛の範囲を超える過剰で非道な行為である。地獄図を呈したガザ地区の映像は、あまりの悲惨さに言葉を失い、国際社会の無力さにやるせない気持ちとなる。

双方の指導者らは、敵と見なした相手方の生存すら否定しており、収束を見通せないどころか、さらに過激化する恐れがある。両者の理不尽な行為を絶対許すことはできない。

一刻も早い停戦を

パレスチナ問題は、世界の近現代史において、これまで欧米諸国をはじめ、各国の歴史的経緯や国際・国内事情などにより複雑に絡み合い、今回の悲劇を含め幾度となく軍事衝突・戦争を繰り返してきた。その歴史の過程をみれば、決して中東地域だけの問題ではなく、国際社会全体の責任は重い。双方に良好な関係を持つ日本への期待は大きいといわれており、アメリカ目線ではなく、独自の立場を生かした和平への外交努力をすべきである。

素人の私が、これ以上中東情勢に踏み込むのは限界であり、どちらかに寄った見解を示すこともできない。願うのは、病院をはじめとする民間施設への攻撃を即時中止して、子どもをはじめとする民間人の命を守り、人道危機を終わらせることだ。一刻も早く停戦し、ハマス側は人質全員を解放すべきである。そして、和平に向けて双方の話し合いにより、妥協点を探ることである。

事態の大きさに、国連総会での休戦決議や安全保障理事会による「戦闘休止」を決定し、国際社会の総意が示され、各国の外交努力により、本記事の執筆中の11月24日から4日間の休戦と人質50人が解放されるという。双方が確実に約束を守り、実行するべきであり、世界の多くは長期休戦、停戦につながることを願っている。本誌発行時には、戦闘が終息していてほしい。

暴力に暴力の応酬では、決して問題は解決しない。憎しみの増長は、他者の生存を認めることはしない。終わりのない生存の危機が続くばかりだ。

戦争・紛争のない平和な世界を希求する。

安藤 京一 (あんどう きょういち) 情報労連 中央執行委員長
巻頭言
特集
トピックス
巻頭言
常見陽平のはたらく道
ビストロパパレシピ
渋谷龍一のドラゴンノート
バックナンバー