特集2026.01-02

みんなで賃上げ/格差是正へ
2026春季生活闘争へ向けて
実質賃金を上昇軌道に乗せ
「賃上げノルム」の確立・定着へ

2026/01/15
情報労連は1月30日に第56回中央委員会を開催し、2026春季生活闘争方針(案)を議論し、決定する。方針(案)のポイントを永渕中央執行委員が解説する。
永渕 達也 情報労連中央執行委員

「賃上げノルム(規範)」の確立・定着

2026春季生活闘争を取り巻く情勢については、中央委員会議案書に詳しく記載していますので、ぜひ併せて確認いただきたいと思います。私たちを取り巻く環境は依然として不確実性が高く、国際情勢の急激な変化や国内経済の先行き不透明感、さらに為替相場の大幅な変動など、労働者の生活に直接的な影響を与える要因が複雑に重なっています。そのような環境において、「暮らしやすい社会」を実現するためには、賃金と物価と経済全体を、安定して上昇させる必要があります。

その起点となるのはやはり、私たち働く者の「賃金」です。四半世紀以上にも及んだ長期デフレによって「賃金は上がらない、物価も上がらない」ことが定着してしまっています。デフレ下であれば賃金が上がらなくても(経済は成長しませんが)生活水準は一定保てます。しかし、デフレから脱却し、むしろ物価が高騰する現在では、賃上げを行っていかなければ生活を営めません。そして、その賃上げは物価高を上回る水準でなければ、私たちの生活は貧しくなる一方です。今こそ、“物価は上がるがそれ以上に賃金が上がる”という「賃上げノルム(規範)」を確立・定着させなければなりません。

また、少子化が進行する日本では、今後も生産年齢人口の減少が続きます。今は、女性や高齢者の労働参画によって、労働力人口は過去最多となっていますが、この先、中長期に減少し、人手不足が一層深刻化することが予測されます。すでに、多くの産業が慢性的な人手不足に直面している現状では、「人への投資」を継続し、労働環境を改善し、人材を確保・定着できるか、労働者の活躍を促進し生産性を高められるかが、企業のみならず産業そして社会全体の持続的成長に大きく影響します。

取引の適正化を強化

昨年の2025春季生活闘争(春闘)では、月例賃金改善を中心とした底上げの流れを維持し、一定の成果を上げることができました。しかし、企業規模間や雇用形態間における格差は依然として大きく、サプライチェーン全体を通じた付加価値の適正な分配や、労務費の確実な価格転嫁についても、まだ十分とは言えません。特に、コスト上昇の影響が強く表れやすい中小企業ほど、賃上げ余力を生み出すための構造的な課題への対応が不可欠です。賃上げを含む労働環境改善のために、労働組合としても、発注企業、受注企業それぞれの立場に合った対応を行い、取引の適正化の取り組みを強化していくことが、2026春闘に求められる重要なポイントとなります。

2026春季生活闘争方針(案)

情報労連はこの間、消費者物価の動向をはじめとする各種社会情勢の動向や2025春闘における要求・妥結結果、加盟組合を対象に実施した総合労働調査・賃金実態調査、さらには組合員の生活実態を把握する「生活アンケート」など、多様なデータに基づく分析を重ねてきました。こうした分析をもとに、すべての加盟組合が春闘に参画し、未組織労働者も含むすべての働く仲間の労働環境改善を図る観点から、2026春闘方針(案)を策定しています。

2026春闘では、(1)全体的な底上げ、(2)格差是正、(3)底支え、(4)働き方の改善、(5)春闘の裾野を広げる、(6)春闘を組織拡大へつなげる──の六つを「取り組みの重点」としています。

全体的な底上げ

まず「全体的な底上げ」では、実質賃金を上昇軌道に乗せ、「賃上げノルム」を確立・定着させるべく、月例賃金改善の実現に強くこだわることとしています。具体的には、定期昇給相当分の確保を前提に、3%以上のベースアップを積極的に求める方針としました。また、一般的に初任給は大きく引き上げられる一方で、中高年層への配分が十分でない事例も見られるため、全世代を対象とした処遇改善が実現できるよう、各組合での実態把握と要求内容の精緻化を重視することとしています。

格差是正に向けた取り組み

「格差是正」では、サプライチェーン全体での適正な付加価値配分と、労務費の着実な価格転嫁が、引き続き重要なテーマです。「パートナーシップ構築宣言」や「労務費の適切な転嫁のための価格交渉指針」などの既存の制度的枠組みのほか、2026年1月1日から施行された「中小受託取引適正化法(取適法)」の周知・浸透を図るとともに、受注者と発注者のどちらの会社においても、“適正な取引を行っているか”“会社は賃上げ原資の確保に動いているか”等、労働組合が取引状況の確認・点検に取り組むこととします。

また、企業規模間格差の縮小を進めるため、「底上げ」の方針に1%を加えた「4%以上」の月例賃金改善を要求目安として示しました。賃金データを十分に把握できない組合向けには、定期昇給相当分を含む1万9000円以上を基準として提示し、各組合の実情に応じた具体的な要求づくりを後押しします。さらに、雇用形態間格差や男女間賃金格差についても、法改正や社会的要請を踏まえ、より踏み込んだ実態把握と改善を強く働きかけていきます。一朝一夕で解消できる問題ではありませんが、これらの取り組みを通じて、公正な処遇を実現することが目標です。

底支え・働き方の改善

「底支え」では、未組織労働者を含めた最低賃金協定の拡充をめざします。最低保障の底上げは、産業全体の賃金水準を押し上げるだけでなく、長期的には人材の安定的な確保や職場定着にも資する取り組みです。

「働き方の改善」では、『情報労連21世紀デザイン』で掲げる「時間主権の確立」を軸に、労働時間の適正化や休息時間の拡充、休日の確保など、働きやすい環境整備を進めます。特に、「つながらない権利(勤務時間外の連絡ルール)」は昨年に続き重要視する取り組みです。ワーク・ライフ・バランスの充実、健康で安心して働き続けられる職場環境の構築に向けて、労使が丁寧に協議を進める必要があり、その後押しとして「『つながらない権利』確立に向けたガイドライン」を準備し、活用してもらうようにしています。さらに、育児・介護と仕事の両立支援や、柔軟な働き方の導入など、個々のニーズに寄り添った改善も積極的に進めていきます。

春闘の裾野を広げる・組織拡大へつなげる

「春闘の裾野を広げる」取り組みとして、すべての加盟組合に最低一つの自主的要求の設定を呼びかけています。賃上げに限らず、働き方や休暇制度の改善、教育訓練やキャリア形成の支援、コミュニケーション活性化など、個々の職場が抱える課題に向き合うことは、組合活動の活性化にも直結します。中央本部としても、説明会や研修会、春闘スタートアップセミナーなどを通じ、ブロック支部・県協との連携を強化しながら、加盟組合の実情を踏まえた「伴走型」の支援を進めていきます。

最後に「春闘を組織拡大へつなげる」取り組みです。組織拡大は、情報労連の生命線です。そして、数多くある労働組合の役割の中でも、特に認知されているものが「春闘」です。春闘を通じて、労働組合の機能や意義を組織化対象者に宣伝することで、労働組合への加入を促します。

■  ■

2026春闘は、実質賃金を確かな上昇軌道へと乗せられるかどうかを左右する重要な局面です。すべての仲間の生活向上を実現するため、今年も粘り強く取り組んでまいります。ともにがんばりましょう。

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