【第1編】母親になる前に ~女性の「ライフコース」がみえていますか~「お母さん」になりたいあなたへ
仕事がら毎日多くの人に会いますが、はっと気付かされることが多いものです。強力な「男女役割分業」もその一つです。男性だけでなく女性もどっぷりです。特に女性にとって生きにくい世の中です。しかも、まったく変わっていません。
子どもたちは親の影響を最も受けますから、世代を超えて受け継がれます。ですから、自分の意識を変えねばとの淡い決心はもうやめましょう(現世代)。これから母親になる人に期待してがっちり育てましょう(次世代)。その母親と家族が育てる新しい子どもたちを幸福にしましょう(次々世代)。なお、だんだんお分かりになるとは思いますが、母親だけに負担や責任を押し付けるつもりではありません、念のため。
「次々世代作戦」。2070年代の新しい子どもたちに想いを寄せています。そのために、「そんな言い方ないだろう」「みもふたもない」「家族の悪口を言わないで」と非難されることも書くつもりです。それでも伝えようと決心しました。筆者の10代、20代の娘たちに「どうして知っていたのに教えてくれなかったの」と浴びせられ、身もだえる自分の姿を想像したからです。娘たちのための私的なノートを「情報労連リポート」編集部がノゾくわけですから、内容は母親になりたい人向けです。でも老若男女を問わず、勇気をもってそこから反射される自らの姿を見てほしい。あなたも一員である社会が母親候補をどこへ連れていくのかを見破ってほしいのです。
娘さんに「あなたはあなたらしく、悔いのない人生を生きて」と励ます母親を見かけますが、残酷な話です。娘さんが後戻りできない場所で気付くのでは遅いと思います。どんなことが起きそうか、どんな社会構造なのか、どんな国で生きるのかなど、肝心なことを教えるべきだと思います。
将来は見つけるものではありません。勇気をもってつくりだすものです。そんな母親が家族を巻き込めば、その子どもたちは生きやすくなり、日本は変わります。
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。