【第7編】労働組合〜ジェンダーギャップ最劣悪国でどうしますか〜カンターの本 2
前回、カンターの『企業の中の男と女』は男性リーダー向けに書かれた本だと言いました。男性が道を踏み外して組織にダメにするな、という直言です。
組織をダメにしないために、女性差別をやめろ、と。そのために「トークニズム」もやめろ! と警告しています。トークニズムって何やねん。
労組にクミジョが現れた時のことを思い出してください。第1段階は、注目の的です(可視性の高まり)。女性の役員なんて聞いたこともないし、どうなるか見当もつかない。でも現実に女性の役員が目の前にいる。トークンです。
トークンって現物ではなく、それを象徴するもので、おもちゃの金とか、複製品とか、仮想通貨もトークンです。嫌な言い方をすれば「お飾り」です。ウチにもいるんだよ! と自慢なのか、困惑なのか、よくわからない言い方がトークンです。
第2段階になると、男性とはやっぱり違うんだよなあ、と言い出します(分離性の高まり)。いろいろなクミダンがいるのに、男性は一括りにして、トークンである女性と比較して区別しはじめます。
第3段階は、もっと労組らしくしてくれなきゃ、察しろよ、勉強してよ、とクミダンと同じになるよう促します(同化性の高まり)。女性なのはわかるけれど、労組の代表だったら、こうしろ、ああしろ…と。
クミジョは、4割を超えるまでは、浮かばれません。女性のくせに、女性にしては、女性にしとくのはもったいない、などと、どう扱うかによって差別的な言葉を浴びせられます(最近はマシなクミダンが増えてきて、心中でそう思っていても言葉にしないので、やっかいです)。
カンターは、トークニズムでアメリカの企業が腐るのを心配しました。日本の労組はどうでしょうか。労組が衰退しているのは俺たちのせいかよ、と言いたくなりましょう。でも、何十年が経過しても女性増員が計画倒れになっている原因をどう考えますか。答えは全部カンターの本に書いてあります。
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。