トピックス2016.10

対案から逃げているのは安倍政権
「働き方改革」のオルタナティブを示す

2016/10/21
「働き方改革」が政治の大きなテーマになりそうだ。長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現、最低賃金――。民進党は安倍政権とどのように対峙するのか。山尾志桜里衆議院議員に聞いた。
山尾 志桜里(やまお しおり) 衆議院議員。愛知県7区選出。2009年、衆議院選挙で初当選。12年総選挙で落選。14年総選挙で再選。16年3~9月、民進党政調会長。

─安倍政権は「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金の実現」などの「働き方改革」に取り組むとしています。民進党の「お株を奪う」ような動きに、どう対応しますか。

「お株を奪う」といってもお題目を並べているだけですからね。安倍政権の言行不一致をしっかり伝えないといけません。内実を伴った法案を提出しているのは私たちです。それは自信をもって言えます。

例えば、長時間労働の是正。私たちは、労働時間の上限規制や勤務間インターバル制度を盛り込んだ法案をすでに提出しています。これに対して自民党の対応は審議拒否なわけです。議論の俎上にすら載せない。

長時間労働をなくすと言うのなら安倍政権は「残業代ゼロ法案」を撤回すべきです。それなくして長時間労働を是正すると言っても信用できません。私たちは具体的な提案をし、いつでも議論できる中身を整えています。議論から逃げているのは安倍政権です。

同一労働同一賃金も同じ構図です。私たちは、■賃金に差をつけた場合の合理的な理由について企業に立証責任を負わせること■制度導入にあたり非正規労働者の賃金・待遇に全体を合わせることがないようにすること─を参院選のマニフェストに盛り込みました。自民党のマニフェストにはありません。大事な「魂」がお題目の中にも出てこない。私たちは魂を込めた法案で迫っていきます。

最低賃金に関しては、まず実質賃金が下がっていることを指摘できます。また、地方との格差是正もポイントです。私たちは「どこでも1000円」を打ち出しています。

─ただ「見せ方」として、安倍政権の「取り組んでいる姿勢」が強調されているように思えます。

安倍政権は長時間労働の規制を検討していくと言いながら、その前に労働基準法の改悪法案を通してしまおうとしています。おかしいですよね。

安倍政権は、自分たちがやりたい「働き方改悪」は、派遣法から労働基準法、それから解雇の金銭解決へと着々と進めてきています。その一方で、長時間労働や同一労働同一賃金に関しては、遅々として進めない。改悪は着実に実行しながら、本当に必要な改革はアピールだけして進めない。このことは強調しておきたいと思います。

─政権・与党と民進党の改革の大きな違いは何でしょうか。

安倍政権の働き方改革は、使用者の立場に立ったもの。私たちは働く人の立場に立った改革です。

例えば、残業が連日続き、毎日子どもの寝顔しか見られないと思ったら、昼間の仕事の生産性に疑問符がつくわけです。私もそうです。私にも5歳の息子がいます。でも、「今日は早く帰って夕食を一緒に食べよう」と思うと集中力がアップして生産性も上がります。多くの人がそうではないですか。

働く人の立場に立った労働時間規制とは、そういう意味です。私たちの人生は仕事だけではありません。子育てや介護、勉強や趣味の時間もあるわけです。どんな家庭状況でも年齢でも仕事以外に取り組むテーマがある。私たちの法案は、そういう時間を確保するための法案でもあります。

長時間労働を規制することで生産性を上げれば企業のメリットにもなります。私たちの法案は働く人の立場に立った法案であると同時に、企業の成長にも資するものだと強調したいですね。

─「女性活躍」「保育政策」でも認識の違いが浮き彫りになりましたね。

「女性の活躍推進」をうたいながら、安倍総理は女性議員の質問にヤジを飛ばしたりする。女性の活躍促進とは何だと思いますね。

安倍総理とは「パート月25万円論争」もしましたが、働く女性のリアルからすると、浮世離れした幻を描いているにすぎないと強く感じます。

「保育園落ちたの私だ」のときは、認識の違いがくっきりと浮かび上がったと思います。まさか私の質問に対して、安倍総理が「本当か確認しようがない」と発言したり、国会では「誰が書いたんだよ」などのヤジが飛んだりとは思いませんでした。びっくりしたのは、私の演説ではなく、私の口を借りた、困りはてた一国民の声に対して、「名を名乗れ」とか、ヤジを飛ばしたりする議員がいたことです。子どもを育てづらい、息苦しいと苦しんでいる人たちの声に救いがたいほど鈍感な政権だと感じましたね。

その後の対応もわかっていませんでした。待機児童問題を規制緩和で解決しようとし、保育士の処遇改善の問題も私たちが提出した法案の審議に一切応じていません。子育てに対して予算をきちんと使う姿勢が見られないんですね。これで幕引きにできません。野党が政治を動かせるところを見せていくつもりです。

─民進党が信頼を回復するには?

私たちは先の通常国会で、政府が提出する閣法(56本)よりも多くの法案(64本)を提出しました。これは戦後初めてのことです。

安倍総理は通常国会の冒頭、野党は対案を出すべきだと大見えを切りました。私たちはすでに対案を出しています。対案から逃げているのは安倍政権なんです。私たちはいつでも議論できます。

政治は暮らしの問題を解決するためにあると思っています。民進党の名前には国民の声を聞き、国民とともに進むという思いが込められています。だから、私たちは国民の声をしっかりキャッチして課題を解決する政党でありたい。声を上げれば政治が変わるという成功体験を、皆さんと一緒に一つひとつ積み重ねていきたいと思います。

一方で、安倍総理の政治は、「男のロマン政治」です。国民が求めることではなく、安倍総理がやりたいことをやる政治なんですね。憲法を初めて変えた総理、集団的自衛権を認めた総理……。安倍総理の「ロマン」を追い求める政治です。このことと私たちのスタンスとの違いを知ってもらいたいですね。

国民の皆さんの声があってこそ、政治は変えられます。野党の立場でも政治を動かしていき、得られた成果を皆さんとともに成功体験として分かち合っていきたい。皆さんの声をどんどん届けてください。一緒に課題を解決していきましょう。

(9月1日インタビュー)

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