渋谷龍一のドラゴンノート2016.11

【第1編】母親になる前に ~女性の「ライフコース」 がみえていますか~結婚退職や出産退職は変わっていない

2016/11/14

女性が学校を卒業し、就職をして、結婚する。結婚を希望しない女性が増えたと言われますが、実は1割未満です。当たり前だと思われている結婚ですが、一番多いのがサラリーマンとの結婚です。同じ職場、同じ会社、関係会社、取引先など、広い意味での職場結婚が多いので、出会いの場が限られていることがわかります。

さて、女性の人生、つまりライフコースについては、先入観が強いものです。また、「人それぞれ」だから、全体像を聞かされても違和感があったりもします。でも、全体像を正しく理解することは、自分の将来をしっかり考えるために大切です。

女性のライフコースの真実を知ろうと調査データを照合しながら丁寧に追っているのが、西村純子さんです。一例をあげると、まだまだ結婚退職する人が多いのですが、若い世代では結婚退職しない女性の割合が高くなってきています(『子育てと仕事の社会学─女性の働きかたは変わったか』弘文堂、2014年)。

しかし、結婚時点では仕事を続けていたとしても、実は結婚後早期に退職する人は多いのです。結婚後も正社員の仕事を続ける女性は3割くらいで、7割以上の女性は退職します。

結婚後も辞めなかった女性でも、出産となると再び退職の波にさらわれます。1人目の子どもの出産を迎える時点で正社員を続けている女性は2割くらいに落ち、その多くが出産1年後も正社員を続けています。少数派ですね。最近は、出産時点で働き続ける女性の割合が若干上昇しているようですが、それ以降辞めていきます。小動きはありますが、大筋は変わっていません。

世の中ではずいぶん前から「女性が結婚でも出産でも会社を辞めず活躍する社会」をめざそうと宣伝され、ごく少数の女性(同一人物の場合が多い)の「成功例報道」があふれています。ところが、現実には大多数の女性のライフコースはほとんど変わっていません。大多数の女性は結婚でも出産でも会社を辞めて、職業人生から離れ家庭に入り主婦になります。

(次号に続く)

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
『女性活躍「不可能」社会ニッポン原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)で2016年貧困ジャーナリズム賞を受賞。
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