渋谷龍一のドラゴンノート2017.03

「再就職」は主婦パートで

2017/03/16

女性のライフコースの注目点の一つは、結婚や出産で退職して家庭に入った女性が再び仕事を始めることです。つまり再就職ですが、正社員に戻って働くことになると想像していませんか。正社員だった女性が退職したのですから当然ですが、ライフコースの現実は違います。

厚労省『21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)の結果』は、同じ母親をずっと追跡し続けている調査で、ライフコースがわかります。出産から1年前に働いていたのは54.3%でこのうち約6割が正社員でした。ところが、出産1年半後では、再び正社員で働く母親は15.3%とせいぜい10人中1~2人です。

しかも、出産12年半後になると、正社員は22.1%となりますが、やはり10人のうち2人と、正社員で再就職する母親は例外です。ところが、主婦パートになる母親は、出産1年半後で8.7%とまだ正社員復帰よりも少ないのですが、出産3年半後で正社員を上回り、出産12年半後では、46.4%にまで上昇します。

専業主婦がだんだん減ってきて、その代わりに主婦パートで働き始めています。出産後に復帰が遅くなればなるほど、母親たちは正社員ではなく主婦パートになっていく。これほどはっきりしたライフコースは珍しいほどです。

仕事への復帰というステージに入っても、もっぱら家庭という女性の方が多いし、仕事に戻る女性でも家庭に軸足をおいた働き方になります。「男が外で稼ぎ、女が家を守る」。多くの日本国民が自然に受け入れている意識どおりの実態です。女が家を守る時、「女らしい」とされます。これは「男女役割分担」とか「性別役割分業」の意識と言われています。その意味で、善しあしは別として、母親として生きる場合の日本社会の基本条件といって差し支えないのです。女性のライフコースは確かに少しずつ変わってきていますが、基本条件が強固に守られているのはまったく変わっていません。

渋谷 龍一(しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
『女性活躍「不可能」社会ニッポン原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)で2016年貧困ジャーナリズム賞を受賞。
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