特集2017.08-09

「無期転換ルール」にどう対応する?早期の無期転換、処遇引き上げ
労働組合への加入の取り組みを3本柱に取り組む

2017/08/30
連合は無期転換ルールにどのように対応していくのか。方針や構成組織の取り組み事例などに関して非正規労働センターに聞いた。

雇用安定、処遇改善、組合加入の3本柱

連合は2013年、改正労働契約法に関する取り組み方針を確認。無期転換ルールに関する主な取り組みとして、(1)5年より短い期間で転換させるよう労使協議を行うこと(2)有期労働契約時の低い処遇で固定化されないよう、無期転換後の労働条件の引き上げをめざして労使協議等を行うこと(3)有期契約労働者の組織化を推進すること。特に無期転換した労働者を確実に組合員にすること─を掲げてきた。

「雇用の安定、処遇の改善、組織化・組合加入─。これが3本柱です」と連合非正規労働センターの石田輝正局長は話す。このほかにも、▼無期転換前の雇い止めに関して労働契約法19条の雇い止め法理を周知すること▼無期転換申込権を有期契約労働者に周知すること─などを掲げ、構成組織の取り組みを促している。

構成組織の事例

すでに無期転換制度を前倒しで始めている構成組織もある。三越伊勢丹グループ労働組合では、経営統合前の伊勢丹労働組合が2008年度から1年ごとの有期契約の月給制契約社員「メイト社員」の制度改定に向けて労使協議を開始。2010年度4月には入社4年目の契約から「メイト社員」を全員無期雇用化する制度を導入した。2012年度の経営統合後の2016年からは改正労働契約法(「無期転換ルール」)の施行を踏まえて、「メイト社員」は入社と同時に全員が無期契約となる制度に変更している。

連合の山本和代副事務局長は「有期契約では離職率が高く、現場が立ち行かないという背景があり、無期転換を活用して安心して働いてほしいという企業の意向もあったようです」と話す。

また、全労金でも無期転換の取り組みが進んでいる。北海道労金労組では、2013年4月から勤続3年を経過した有期契約職員(制度導入以前の勤続期間も通算期間に含む)を無条件で無期雇用に転換する制度を導入した。静岡労金労組も同様に、勤続3年以上は自動的に無期雇用に転換する制度を導入し、従来から制度化している職員登用制度と合わせて、安定雇用の実現を図った。また、無期転換ルールの制度化とともに、正職員以外の労働者も含めた賃金制度を確立し、人事考課による昇給制度や一時金制度を導入した。

連合の改正労働契約法に関する取り組みでは、無期転換後は原則、正社員とする制度を設けるとしているが、石田局長は、「まずは、無期転換と並行して正社員への登用制度の確立、制度がある場合には登用拡大を進めることから始めてほしい」と話す。

業務割り振りの明確化が大事

無期転換の成果について全労金出身の石田局長は、「当事者からは、私たちの現状を受け止めて行動してくれたと好意的で、正職員組合員からは同じ職場で働く仲間の処遇を改善するのは当然という認識が広がるなど、職場運営や風通しが良くなったなどの声が出ています。また、経営側も将来を見据えた人材戦略が描けるようになったのではないか」と話す。

石田局長は無期転換のポイントとして、正社員の登用制度の実施と合わせて、雇用形態ごとの「業務の割り振りの明確化」を挙げる。「有期契約社員、無期転換した社員、正社員など、すべての社員が担当する業務を見直すことが大切です。例えば、金融機関では窓口業務や後方業務など、一つ一つの業務がレベルによって分けられ、担当できる社員もそのレベルに応じて変わります。雇用形態に合わせて業務担当を明確にすることで、正社員から非正社員への安易な置き換えを防止することができます」と話す。

また、石田局長は、「業務内容を精査することで業務のレベルに応じた評価もできるようになり、無期転換ルールはその第一歩になり得ます」と話す。仕事の中身(役割、責任等)で処遇を決める「同一価値労働同一賃金」への示唆ともいえる内容だ。

また、山本副事務局長は、「非正社員の処遇改善は、その取り組みが正社員の安定雇用や処遇を守ることにつながり、労働組合の組織強化につながります。企業にとっても長期的な人材活用が可能になります」と取り組みの重要性を訴える。

連合の調査(「有期契約労働者に関する調査」2017年)によると、無期転換ルールの内容まで知らないと回答した人は84%であった。連合は2月と3月に無期転換ルールに関するセミナーを開催しているが、第2弾として8月と9月にも開催する。労働組合による、さらなる法律内容の周知と現場での取り組みが求められている。

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