特集2018.03

労働組合って何するところ?何をしている?中小労組の「非専従組合役員」
組合と仕事の両立の難しさとやりがいは?

2018/03/15
会社の業務を兼務しながら労働組合の活動に取り組む「非専従」役員。仕事と組合活動のバランスなど両立に難しい課題がある。どのような活動をしているのだろうか。
全統一労働組合生活クラブ生協評議会ユニオン支部

会社業務と組合活動の兼務

全統一労働組合生活クラブ生協評議会ユニオン支部の組合員数は235人。支部の執行委員(労働組合の役員)8人で、その全員が会社の業務と兼務しながら組合活動を行う「非専従役員」だ。

労働組合に対置する「生活クラブ生協」は、食材宅配を展開する生協。労働組合の山本和男委員長は、「配送業界なので労働時間が長くなりがち。そのため、現実問題として平日に組合活動をするのは難しいですね。どうしても仕事がメインになるので」と非専従役員での組合活動の難しさを打ち明ける。そうした中、どのように活動しているのだろうか。

執行委員会と団体交渉

支部の執行委員会が開かれるのは、土・日を基本に月1回。1回の会議には4~5時間をかけている。最近、執行委員会のテーマに上ったのは、今年4月から本格的に適用が始まる「無期転換ルール」。生協側から提案された内容を執行委員会で精査し、労使交渉の議題にすることなどを議論した。

生協との交渉は支部の下に設置された分会ごとに行う。分会は東京・神奈川・長野に設置されており、交渉の頻度は分会によって異なる。東京なら月1回。神奈川は年に5~6回程度だ。春闘時期は集中して団体交渉を行う。団体交渉は、就業時間後に2~3時間かけて行っている。今年の春闘では、賃上げや非正規職員の処遇改善などを要求する。

レク活動や相談活動

組合活動では、レクリエーション活動や勉強会の企画・運営も行う。昨年のレク活動は、冬にはスノボ企画、春にはイチゴ狩りを実施。勉強会として生協の生産者との交流イベントも企画した。組合役員を対象とした労働法の勉強会も開いた。

支部の特徴的な活動として「サークル活動」もある。労働組合がサークルの活動費を一部負担する仕組みだ。対象になるには5~6人の組合員を集めて申請すればよい。楽しみを通じて組合員同士が交流し、仲間を広げることが狙い。現在五つのサークルが登録されている。

組合員からの悩みを聞くのも組合役員の日常的な役割だ。ハラスメントなどの相談があれば、ケースバイケースで生協側と対応している。

非専従での活動の難しさ

このような組合活動に取り組みながら、山本委員長は会社での業務を兼務している。「非専従」「中小労組」ならではの難しさはどこにあるだろうか。

山本委員長は「組合の先輩が、『労働組合をつぶす簡単な方法は仕事を忙しくすること』と言っていました。そうすれば、組合で集まりたくても集まれなくなるから。確かに、そういう側面もありますが、どんなに忙しくてもやるしかないときはあります」と山本委員長。

一方、労働組合のやりがいとしては、「組合員の権利が守られたり、組合に入っていてよかったと言われたりするときは、やりがいを感じます。権利が守られた組合員は、組合に何かをしてもらうという姿勢ではなく、自分に何ができるかという姿勢に変わる。そのことが大切」と訴える。

山本委員長は、「問題が起こらない職場はありません。中小企業ならなおさら、必ず何かしらの問題を抱えています。労働組合の価値と意味は必ずあります」と強調する。

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