特集2018.03

労働組合って何するところ?何をしている?「職場会」が組合活動の原点
参加を促すために工夫を施す

2018/03/15
職場の実態を聞き、その声を会社の施策に反映させるため欠かせない労働組合の活動が「職場会」や「対話会」だ。どのような活動を展開しているのか聞いた。
KDDI労働組合

労働組合に不可欠な「職場会」

「秋の職場会は236回開催し、2885人の組合員に参加してもらいました。冬の職場会は700拠点での開催を予定しています」

KDDI労働組合(約1万3000人)の宮原千枝副委員長はこう説明する。

「職場会」とは、組合員からの意見を聞いたり、労働組合の活動方針や春闘の要求方針を組合員に説明したりする場だ。職場の実態を把握し、労働組合の活動に反映させるために、すべての労働組合にとって欠かせない。KDDI労働組合では本部や支部・分会の役員が分担して年3回職場を回っている。

最近、職場会で話題に上ることが多いのが「働き方改革」だ。「残業時間は以前に比べて減少しています。ただ、有給休暇が取りづらくなったという意見も聞いています」と宮原副委員長は説明する。冬の職場会では、春闘の要求方針などを議論する。賃上げを望む声などが職場から寄せられている。

参加率の向上が課題

職場会の主な課題は、参加率を上げること。そのため、昼休みを活用して開催したり、客先常駐のような働き方をしている組合員向けに、職場会開催期間に相談窓口(電話、Web)を設置したりするなどの工夫を施している。この相談窓口の取り組みは効果があり、普段よりも多くの相談が寄せられた。また、職種ごとの職場会を開催し、本音を言いやすい環境を整える工夫もしている。

KDDIには世界13の国と地域に48拠点がある。そのため毎年、数拠点ずつ職場会を開催し、仕事や生活上の悩みなどをヒアリングしている。

宮原副委員長は、「職場会に来てもらった以上は満足して帰ってもらえるように、こちらも役に立つ情報を提供したい。職場会は活動の原点なので大切にしたい」と強調する。

労使協議に反映させる

労働組合は、こうして職場会で聞いた組合員からの声を会社との協議に反映している。KDDI労働組合の労使協議における最近の大きなテーマは、同一労働同一賃金だ。総合職や地域限定で働く社員、契約社員など、さまざまなタイプの社員が同じ職場で働いている。政府が「同一労働同一賃金ガイドライン案」を整備しているため、法の施行に先立って議論をスタートさせている。

こうした労使協議を得て決まった施策が社員の働き方に影響する。職場会でどれだけ組合員の声が集まっているかは労使協議にも影響するため、「職場会にできるだけ参加してほしい」と宮原副委員長は訴える。

女性役員のネットワークづくり

KDDI労働組合では、2020年までに組合役員に占める女性役員の割合を3割にすることを目標に掲げている。現在の女性役員数は42人。3割に到達させるには62人にまで女性役員を増やす必要がある。KDDI労働組合では、女性役員を中心として、女性組合員向けに女性職場会も開催している。男性中心の職場会だと、声の大きい男性組合員に遠慮して、女性が委縮して発言する機会を逸してしまうことが多いため、女性の声を組合活動に反映することを狙いとしている。

労働組合の活動は、組合員の参加が重要なポイントだ。職場会をはじめとした活動にぜひ参加してほしい。

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