特集2019.03

4月スタート!あなたの職場の準備は?働き方改革関連法「36協定」をもっと知ろう!
連合「Action!36」キャンペーン

2019/03/14
連合は「36協定」の認知度を高めるため、昨年9月から今年3月まで「Action!36」キャンペーンを展開した。キャンペーンの狙いと職場で実践すべき取り組みについて聞いた。
安永 貴夫 連合副事務局長

36協定の認知度が低い

連合が実施した「36協定に関する調査2017」では、「会社が残業を命じるためには36協定の締結が必要」ということを知らない人が43.5%に上りました。20代に限ると「知らない」と答えた人は半数を超えています(50.8%)。

さらに、厚生労働省の調査(「平成25年労働時間等総合実態調査」)では、36協定を締結している事業場の割合は55.2%しかなく、締結していなかった事業場の経営者が「36協定の存在を知らなかった」という割合が35.2%に上りました。

世間では道路交通法や労働基準法が「守られない法律」として皮肉交じりに語られますが、スピード超過が道路交通法違反であることは多くの人が知っています。けれども、「36協定」は存在そのものが知られていません。これでは、法律が守られる前提がそもそもありません。連合としては、これに強い危機感を持ちました。

連合は「働き方改革」を進めるために法律を改正する活動に取り組んできましたが、働く人を守る法律があっても、それが実際に守られなければ意味がありません。まずは「働き方改革」の根幹をなす改正労働基準法の中でもカギとなる36協定の認知度を高めるキャンペーンを展開することにしました。それが「Action!36」キャンペーンです。

「Action!36」

「Action!36」キャンペーンの狙いは、労働組合のない職場で働く人も含めて、すべての人に36協定を知ってもらうことです。

ワークルールは労働組合役員や経営者、人事担当者だけが知っておけばいいわけではありません。すべての人が最低限のルールとして意識しておくべきものです。そのため、キャンペーンではこれまで36協定を知らなかった人たちも含めて、「自分の職場は大丈夫かな」「自分の職場の過半数代表者は誰かな」と気付きを得てもらえるように意識しました。具体的には次のような活動に取り組みました。

一つは、3月6日を「36(サブロク)の日」として日本記念日協会に登録したことです。昨年11月の中央委員会で、神津会長が日本記念日協会から認定証を受け取りました。登録の際、登録名を「36協定の日」ではなく、あえて「36(サブロク)の日」としたのは、一見して何の日かわからないようにして、関心を持ってもらうためです。

これに合わせてキャンペーングッズをつくりました。「36」の数字を前面に出したロゴをつくったり、ロゴをあしらったあめ玉をグッズとして配布したりしました。

また、特設のウェブサイトも制作しました。ウェブサイトでは各地方連合会が経営者団体と署名した「長時間労働の是正に向けた共同宣言」や、ILOをはじめとした協賛団体からのメッセージなどを掲載しています。

加えて、地方紙や地方のラジオ番組などでのコマーシャル、街頭宣伝、LINEを使った全国労働相談などさまざまな活動を展開してきました。

職場での取り組み

労働基準法では、使用者は、1日8時間、週40時間を超えて労働者を働かせてはいけません(32条)。それ以上の残業は、労使が36協定を締結し、届け出ることで例外的に許されているに過ぎません。にもかかわらず、このことが軽く扱われています。残業が当たり前という感覚は、こうしたワークルールの認知度の低さが影響していると思います。法律をきちんと認識してもらうことが大切です。

加盟組合などで講演する際には次のように訴えています。

第一に、法律がきちんと守られるように職場を点検・チェックすることです。労働組合の皆さんには、「法律を超える取り組みをしてこそ、労働組合の価値がある」と強調しています。法定通りにするだけでは労働組合の存在価値がありません。法律を少しでも上回る成果を求めるよう訴えています。具体的には、36協定の上限時間をできる限り短くしたり、36協定に記載する事由をできる限り詳細に記載したりすることなどをお願いしています。

また、過半数代表者や過半数労働組合の要件を満たしているかのチェックも大切です。過半数代表者などは事業所単位で選出します。有期契約労働者などが多く、組織化が進んでいない場合などには、さらに注意が必要です。これを契機に仲間づくりにつなげてほしいと強調しています。

加えて、今年4月から施行される改正労働基準法における時間外労働の上限規制について、適用猶予や適用除外となっている業務や業種、施行時期が異なる中小企業でも、法を上回った対応を求めることが重要です。連合は2年前に「協約から法律へ」という方針を確認しました。労働組合が率先して法を上回る協約を締結していくことが今後の法改正の力になっていきます。皆さんの取り組みが社会を良くしていくという気概を持ってほしいと思います。

取引慣行の適正化が重要

時間外労働削減の取り組みでとりわけ重要なのは、取引慣行の適正化です。大企業での時間外労働の削減が中小企業にしわ寄せされるようなことがあってはいけません。連合は、2019春季生活闘争などを通じて、大企業の労使でこの問題について議論するよう要請しています。具体的には、仕事を発注する部署に労働組合が働き掛けるなど、取引先で36協定などの法律がきちんと守られているか配慮する必要があります。

例えば、東京オリンピック・パラリンピックでは、大会の準備・運営段階の調達プロセスにおける調達コードを定め、サプライチェーンにおける人権基準の順守を求めています。違反があれば、取引関係から除外されますし、通報窓口も用意されています。こうした機会を捉えて、企業のCSR調達などに着目した取り組みも展開してほしいと思います。

36協定を通じた労使対話を

36協定を通じて労使が対話することが非常に大切です。その議論は単に時間外労働を削減するだけではなく、適正な人員配置や、仕事の効率化、人材育成など、会社経営全体にかかわる議論につながっていくはずです。その結果、職場が働きやすくなり、会社の生産性が上がれば、それが配分の原資になります。36協定を通じた一連の労使の議論を好循環に結び付けていけば、職場の理解も得やすくなるはずです。

「Action!36」のキャンペーンは3月6日でいったん区切りを付けましたが、36協定の認知度を広げる活動は続けていく必要があります。連合では「ワークルール検定」や「ワークルール教育推進法」などの取り組みをさらに進め、ワークルールの浸透を図っていきます。

連合は2018年12月の中央執行委員会で「豊かな生活時間の確保とあるべき労働時間の実現に向けた方針」を確認しました。「働き方改革関連法」が施行される今だからこそ、すべての労働者が豊かで社会的責任を果たし得る生活時間の確保と、「年間総実労働時間1800時間」の実現に向けた労働時間短縮を追求するとしました。「働き方改革関連法」は一つのきっかけです。労働組合の力によって、より働きやすく、暮らしやすい社会をつくっていきましょう。

「Action!36」の街宣行動
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