渋谷龍一のドラゴンノート2019.04

【第3編】職場~企業と「カイシャ」の違いを知っていますか~企業と「カイシャ」

2019/04/12

今回から第3編です。職場に目を向けます。学校を卒業して就職をめざすあなたは、企業にどんなイメージを持っているでしょうか。日本企業は広報活動が非常に上手なので、カッコいいイメージを植え付けられていることでしょう。また、採用されて働きはじめた人が、自分を評価してくれたはずの勤務先へ最初から疑いの目を向けることはないでしょう。

でも、企業とカイシャの二つの顔があることは忘れないでほしいのです。この使い分けは、企業とは事業をしているとか、税金を払っているとか、労働者を雇っているとか、社会貢献をしているとか、外形だけを見ている場合です。

カイシャはというと、内部に独特の様式やルールがあって悪事を続けたり、不祥事が発生したりしている場所と見る場合です。

もちろん、すべての企業がひどいわけでも、企業のすべてがひどいわけでもありません。しかし、平成末期、スポーツ界の台風のような不祥事でかき消され気味とはいえ、年初の成人式の晴れ着企業の営業中止から始まり、自動車メーカーを筆頭に製造業や建設業のデータ改ざんなどドミノ倒しのような品質不正、航空会社ではパイロットもキャビンアテンダントもアルコール摂取、日産ゴーン前会長逮捕など派手なものです。これらはマスコミ各社が報道したほんの一握りの有名企業です。

また、カイシャには悪質クレーマーも群がってきます。土下座の強要、暴言や暴力、執拗な営業妨害など、お客さまと犯罪者の境界にいる消費者であふれています。「政労使」というより「消労使」な職場なのに、企業がしっかり労働者を守る姿を見たことがありますか?

企業は一皮むけばカイシャなのだ、ということを想像できるかどうかが、企業で働きながら家庭生活を送るあなたの将来を考える第一歩です。日本は安全な国だと言われることがありますが危険がいっぱいです。企業で働いているはずのあなたは、常にカイシャの矛先がどこへ向いているのかに注意する必要があります。

渋谷 龍一 (しぶや りゅういち) 労働ジャーナリスト
日本労働ペンクラブ会員。主著に『女性活躍「不可能」社会ニッポン 原点は「丸子警報器主婦パート事件」にあった!』(旬報社)がある。
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